第十二話
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見えるのは全台未聞の無能力者、佐部佑だぁ!! 底辺オブFランク改め、底辺の魔術師。今度は何を見せてくれるのか!!」
実況が俺の名前を口に出した。会場の観客席からまさかの歓声が聞こえた。
卍城王也の頃のような始めの頃は、全くと言っていいほど聞こえなかった歓声が、聞こえるというレベルにまであることに少しばかり驚いてしまう。
そうか…… 俺にも応援をしている人がいたのか。
俺は、舞、夕、剣先生以外の見ている観客全てが、俺の敵という勘違いをしていた。
しかしこうして俺を応援している人もいるんだと、なんだか申し訳ない気持ちになってしまう。
俺はやる。だから見ておいてくれ。
俺の勝つところを。
「左手に見えるのは、この学園最強の『拒絶の王』盾田剣士だぁ!! ランク祭三連覇へ向けて、今も勝ち続けています」
鉄の剛球のような男はその屈強な腕を天に掲げた。
その腕からは強者ならざる『気』が肉眼で確認できるほどにまであった。
押され気味な心を立て直す。やるんだよこいつを倒して……
「両者準備はよろしいですね」
――俺はやるんだッ!!
緊迫した空気がこの会場全体に流れる。
ここにいるすべての人がこの間に唾を飲むような緊張感に襲われていた。
俺は目をつぶりイメージをする。『常に優位に立つ自分』その姿を。
完璧だ。
「ファイッ!!」
始まりの合図が切って落とされた。
すぐさま距離をとり、懐から愛銃のSIG SAUER P228 XXダブルクロス 改を2丁取り出す。
その金属の光沢を反射させ、銃は前方でヤツの方へと構えながら、引き金を引いた。
爆発によって発生した火花が俺の目の前を飛び散る。
そして放たれた弾丸は、ドリル状の直線起動を描いて、狙っていた彼の頭のほうへと進んでいく。
不意打ちとも言わずともその突然の攻撃に、俺は淡い期待が心の中でにじみ出てきた。
それを押し殺しながら弾の行方をしっかりと確認する。
と、止まった!? 弾が彼の目の前で突然と止まり……
いや、何か”見えないもの”に当たったように空中で停止。
弾丸は生気を無くしたように地面へと落ちたのだ。
壁のようなものが彼の目の前にあるのか……
いや彼の目の前にはどんな物体も存在しない。
「フン、貴様の攻撃など完全に見切っている。次はこちから行かせてもらう」
彼は前に落ちた弾丸を脚で踏みながら、距離をとっていた俺へとその眼光を浴びせ、流れるように、右手と左手を後ろ腰に回す。
その姿は大太刀を抜き取る武士のようでもある。
しかしその腰には、何も付いてはいない。
「ランセーネン・シールドッ!! 形ケイ・太刀の型」
そう、あれは丸腰の常態
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