第十話
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て、本来のお前が進むべき未来へと行かせるべきだと思っていた」
彼女の本音…… いや抱えていただろう話に俺は黙って聞いていた。
多分彼女の予定では俺は卍城王也に負ける予定だったんだろう。
彼女の話すことから推測をした。
俺に才能があるとまで嘘をついて、俺を教えていたなんて思うと彼女の人の良さに感激する。
「お前は能力者として生きるべきではないと私は思っている。それと同じくらいに、もしかすればお前はとんでもない能力をもっているのかと、日々期待をしてもいる」
いつものように直球で急所に当ててくるような言葉ではなく、とんでもなく回りくどい彼女の発言に驚く。
感激で視界がぼやけてしまうと思い、いつものようなふざけた思考に俺は戻したのだ。
「先生急にどうしたんですか? 生理でもきたんですか?」
いつものように軽い冗談を彼女に投げた。
「今私には冗談を話すような元気は無い」
俺の顔を見ると立ち上がる。それを見越して彼女にペットボトルを渡す。
ペットボトルを手に取ると彼女は続けた。
「今でも引き返せるな」
来た階段を見上げる。そして続ける。
「佑――ずっと私のそばで一緒にいてくれ。私はお前を失いたくはないと、お前が気を失っている時に初めて気づいた。もうどうか…… 生死に関わるようなことはやめてくれ」
そう言うと彼女は顔を隠すように前を見た。
背中を見せる姿は乙女のようで、彼女らしくない姿に俺は驚いた。
今までこのような姿を見せたことが無いため唖然とする。
「何を言ってるんですか?」
驚きつつも彼女の言っていることには理解が追いつかず、質問をする。
「……ランク祭には出るなと言っているんだ」
といい、彼女はペットボトルの水をその小さく尖った唇に流し込む。
色々と考えが巡りそうになったが、舞に気付かされた回答を思い出した。
これを彼女に伝えるんだ。
「……僕には目指すべき目標があります。そのために僕はランク祭に出ます」
少し間が空きながらも、そのように言うと彼女を見た。
それに反するように彼女も俺を見る。
そして俺はあのランク祭でのことを思い出したので話す。
「剣先生あの時、俺を応援していたでしょう?」
あの卍城王也の必殺技を食らわされ、視界が暗くなってる中、彼女は『根性出せ』と誰よりも声を大にして叫んでいたはずだ。それもマイクでだ。
「あれは……」
言葉が詰まったのか彼女は、必死に言葉を選んでいるようにも思える。
少しばかり可愛く見えてしまった。やっぱりこの人も女の子だ。
二人にまたもや沈黙が流れた。
ケンカ別れ前のカップルのようで客観的に見て面白いと思った。
「先生、
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