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最弱能力者の英雄譚 〜二丁拳銃使いのFランカー〜
第九話
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た、そう言いながら彼女は、俺の方を見ると爽やかな笑顔で言う。

「そうか……」

 二人は影で腰を下ろす。涼しい潮風が二人を包んだ。最初に巡り合ったときよりも、少しだけ大人びいて見える彼女。その姿に穏やかな気分になる。

「俺は強請らずにずっと待っていたんだ。だからどうしてもスタートラインには立てなかった。だけど今は違うんだ。俺を鍛えあげスタートラインに立たせてもらった人、俺が寂しくならないように構ってくれた人、俺を応援していた人。その人達のおかげで俺は今、スタートラインに立てている」

 そうして俺は無くなった腕を見る。
 舞は欲しいもののために戦うと言った。俺のほしいもの……
 俺はあの人のようになりたい!!
 それを目標にして生きてきたんだろう。
 あれほど彼女らから支えられてきて、何故俺は諦めていたんだろうか。
 目標に近づくために今できることは……
 ランク祭で勝ち続けることだ。

「ありがとう舞」

 俺は舞を抱きしめた。

「ど、どうしたの?」

 突然に抱きしめられ彼女は驚く。

「俺はあることから逃げようとしてたんだ。もう俺では無理なんだろうなって、俺には限界があったんだなって、違う。そんなんじゃ、あの人のようにはなれない」

「……」

 彼女は黙って俺の言うことを聞いていた。

「舞…… 俺やってくる。どうか情けない僕だけど見ていて欲しい」

「……わかった。無理しないでって言いたいけど、男の子にはそんなこと通じないよね」

 彼女もまた俺を抱きしめた。




「剣先生!!」

 舞と海を歩いた後、俺は剣先生のいる職員室へと向かいドアを開けた。

「お、どうしたゴムが必要か? 残念ながらお前のドリチンに似合うゴ」

「先生!!」

 俺はここにくるまでで疲れてしまったため、怒鳴っているように発してしまった。

「ど、どうしたんだ」

 驚いたのか彼女は目を丸くして俺を見ている。

「確かここにいる能力者は。各々のオリジナルの武器を貰ってるんですよね」

「ああ、そうだ。再注文にはとんでもない金額が掛かるがな」

「……ランク祭に出るため、俺のオリジナルの武器をくれませんか」

 唾を飲み込み彼女に告げる。下に向いて深く呼吸をしていた俺は、顔を上げ手を膝につけながら彼女の顔を見る。

「ランク祭…… 僕は出ます」

 そして胸を張るように常態をあげると、しっかりと彼女の顔を見た。

「能力者という飾りがなくてもお前は出ると……」

 剣先生は俺を試すように見た。

「――はい、僕は勝利が欲しいです」

 俺はその先に、あの人に届けるようにもっと先へ進みたい。

「もう一度言っておく、私が能力者
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