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最弱能力者の英雄譚 〜二丁拳銃使いのFランカー〜
第八話
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飛行船で起きた私は、こんな話を聞いてしまいました『お前の能力残時間はどのくらいだ?』と、能力者の噂はネットを通じて知っていまして、まさか本当に超能力者がいるなんて思いもしませんでした。私が思い出せるのはこのくらいです」

 反射的に『俺も能力者だよ』と言おうとしたが、喉に突っかかる寸前で飲み込んだ。それは俺には能力が使えないからだ。

「n’ESP――トリックスターズ…… 財閥令嬢を誘拐とは、近々また何かをしでかすということか」

 n’ESP、それは人工的に作られたESPのことをn’ESPと呼ばれている。
 十年前禁忌の研究により、何の能力も持たない通常の人でも擬似的に能力が発動できる発明が発見された。
 実際にそのn’ESPが作られる過程は非人道的だと大々的に発表され、今は作られてはいない。
 だが3年前にトリックスターズはn’ESP作成に手を出したのだった。
 トリックスターズとは、能力者で結成された反社会的勢力である。

「でも何故舞を誘拐したんでしょうか……? あえて舞さんをこの島に匿わせているという可能性も考えなくもないですよ先生」

 助言をするように剣先生に言う。一応この可能性も有り得なくはない。

「なるほどそれも考えなくもないな…… 今から財閥トップに電話をしようと思います。そして明日には舞さんの迎えが来るでしょう。あなたの身元引受は、私が責任を持って行いますので、今日は私の家に来てください」

 ぎこちない敬語を使う剣先生。

「せっかくのお気遣いご遠慮させていただきます。私は佑の豪邸に泊めさせて頂くという約束がありますので」

 そんな約束は無かったが、彼女が自分から家に泊まると言ってしまったことに少しばかり喜んだ。
 言い終わった彼女は、ちらっと俺の表情を確認しているようにも見えたが、どうやら話を合わせてほしいとのことらしい。

「剣先生、舞もそう言ってるんだしいいでしょ。ま、間違いなんて起きませんよ」

 うむ、人生一度も間違いなど起こしたことがない俺だ。
 絶対に間違いなんて起きない。
 何故かって? そりゃ俺様がヘタレだからさ! ははははhhhhhhh!!

「ぐぬぬ…… で、では電話をしましょう……」

「いえこちらでさせて頂きます」

 剣先生は荒っぽく学園の備品である電話を持つと、凄まじい速さで日本国番号を押す。
 そして打ち終わると舞に渡した。
 夕の時のように、目と目の間に物凄い電流が走ってるように見えた。
 この電流で焼鳥が焼けそうだ。舞ってこんなに気が強かったんだなあ……

「なんでいつも夕がいない時に、話が進んでるんですか!!」

 すごい勢いでドアが開いた。夕の髪が上へと逆立ていた。











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