第六話
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るように言う。
今の自衛隊は、完全な日本国の軍隊となっている。
能力者が戦場を跋扈するような時代に、対能力者用の最新鋭の武器と、剣先生のような対能力者のスペシャリストが沢山いるそうだ。
「私も同じ考えです。能力も使う必要の無い、自衛隊に行った方がいいと思いますよ。そうなるともう私と会えなくなりますけど……」
双方とも元気のないような顔だった。二人とも俺のことをよく知っていて、俺のことを思っての事なのだろう…… 確かに能力に固執する必要は無い。
「少し…… 一人で考える時間をくれませんか?」
選択を急ぐ必要はない。少し考えることにした。
「確かに、あのランク戦の後だというのに、すぐに聞いてしまってすまない。結論は焦らなくてもいい。ゆっくりな」
剣先生がそっと言い聞かせるように言った。
「よしっ、私はそろそろ審判の用意があるから行くよ。また後でな佑」
そう言い、剣先生はベットの横にある椅子から、かけていたジャケットを着た。
「私も彼氏が出るから。んじゃまた後でね。佑兄さん!」
剣先生と夕がそれぞれのところへ行った。
このキズはどのくらい掛かるんだろうか。今は寝そべりながらそのことだけを考える。
天井を見た。そして今日の戦闘について思い出してみる。
必殺技というデタラメな剣撃、そして俺自信である無能力者者の限界、勝利と引き換えの右手。
今はよそう。次の試合はどうするべきなんだろうか。義手を買うにもお金が足りない。
気づけば俺は、何故かこの機関に来る前までの記憶を思い出そうとした。
しかし俺にはそんな記憶はない。
多分ここの機関にいる全ての子供達も、多分俺と同じなんだろう。
はじめの頃は忘れてしまったことが悲しいことなんだと子供ながらに思っていた。
どんな親でどんな生活をして、どんな毎日があったかなんて、もう全くと言っていいほど覚えていない。
能力者として生まれた俺達に課せられたのは、兵士として日本国を守ること、そして侵略者達を倒すことだ。
能力者として生まれたからには戦う人生だけが俺たちを待っている。
考えているうちに寝ていた。
6時間ほど寝て俺は起きた。
機関最高峰の医療カプセルの技術で、体中にある軽い切り傷などは完全に回復していた。
しかし右手はいまだに包帯が巻かれている。
初めて手がなくなるという感覚を味わった。
もし俺がこのまま無能力者として、能力者を相手に戦うとなるとどうなるんだろうか。
あの時みたいには上手くいかないだろう。
ならここは能力を使わない自衛隊に入ったらいいんじゃないだろうか。
確かに能力を使わないあちらの方が俺の性にあっている。
悩んでいるこういう時は、散
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