第五話
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は警察という治安を維持する仕事をしていたんだ。当時の私はな、どうしても多額なお金が必要だった。そのために当時勤めていた警察をやめた。まあ元からあのような卑劣な場所は、すぐ辞めるつもりだったんだがな」
そう言い彼女は続ける。
「前払いで何千万とくる傭兵に少しばかり性に合っていると思ったよ。それが傭兵になるための動機ってところだ。私は金の為に人を殺せる人間なんだ」
まるで自分に言い聞かせるような言いぐさだった。
数々の伝説を残してきたと言っても、彼女は一人の人間だった。
「昔はでしょう? 今はどうかは知りませんけど、昔は昔でしゅよ」
慰めるつもりが、思いっきり噛んでしまった。伝わったのかドキドキしてしまう。
「ふふっ、君でも励ますのか。すこし驚きだよ」
彼女から笑顔が溢れ出る。俺が噛んだおかげ?
「初実戦は凄かったよ、弾が、どちらかが殲滅されるか、撤退するまで物凄い量が飛び交っているんだ。スリル満点で楽しかったね」
笑顔で話す。よほど楽しかったようだ。
「戦地に行く前は女性というだけで散々ものを言わされたよ。そのたびに片っ端から全てぶっ潰してきたが」
これまた笑顔で話す。この人にかなう人なんて絶対いないだろうに……
「まあここからが楽しくなる。私が三度目の戦地に出向いたときの話だ」
先ほどとは違い。真剣な顔になった。よほどなことがあったんだろうか。
「2003年、2月14日、世間一般では血のバレンタインなどと呼ばれているな」
「確か能力者同士の初めての大抗争ですよね。第1戦がカナダ、第2戦がここ日本国の北海道、他は忘れましたが」
「全く…… 授業をしっかり受けろ。とにかくあそこに、トリックスターズの囮小隊として派遣されたよ。当時、超能力者なんてアニメや妄想の話だと思っていてな、何も知らない私たちはESP達の殺し合いに参加してしまった……」
彼女の顔が険しくなる。
「バカげていたさ、突如津波が現れたり、何もない空が突然と夜へと変わったりな。仲間の一人が『ここが天国か?』ってジョークだけは笑えたよ。そいつは死んだがな」
続けて彼女は話す。
「ESPの情報すら無かった時代だ。仲間は無残にも殺されまくった。しかし私だけは運が良かったのか悪かったのか生き残ってしまった。逃げもできず、仲間が誰もいない状況なんだ。お前に想像できるか?」
うつろな目で彼女は聞いてきた。こんなにも壮絶な過去話が聞けるなんて想像もしてなかった。
「絶望したさ、戦場は幻想による津波で、前線は無茶苦茶。何が何だか分からなかった。どう逃げるか、後ろへ退避すると弾丸が私達を襲ってくる」
「その銃弾の音が、私のお父さんのよく言っていた『根性ださんか
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