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最弱能力者の英雄譚 〜二丁拳銃使いのFランカー〜
第四話
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軽いものを使っていると思う。

 綺麗な曲線の刃の付け根あたりを観察する。赤のカラーリングは統一されているが、明らかに違う金属のパーツを見つけた。
 見た目は綺麗ではあるが、とりあえずくっ付けたようなわずかな”違い”を見つけたのだ。あそこを狙えばあの武器は壊れるだろう。残りの銃弾は替えを入れて三〇発。
 いける。

「(まずは……)おらああああッ!!!!!!」

 雄たけびをあげ、俺は最後のナイフを彼の顔に投げる。

「……やけくそなのかい?」

 そう言いながら彼は投げられたナイフを軽々と刀身で塞ぐ。
 チャンスだ!!
 彼は狙い通りに鎌の剣身をちょうど俺のほうに向けていた。
 すかさずリロードを凄まじい速さで終え、頭を狙うように、奴の鎌の弱点を狙う。
 この距離ではお得意の瞬間移動は届かない。
 命中。次々に弾を剣身の付け根に当て続けた。
 劈くような金属と金属の衝突音が会場に響く。
 狙い通りに段々と変形していくその刀身の付け根は、皮一つ繋がった首のようにへし折れた。
 俺は、唯一受けられる射撃訓練だけは最高評価の5を取った。
 これくらいはな。

「デッカイ鎌もぶっ壊れたんだから、お得意の空間ジャンプ攻撃ももう意味は無いよなあ!?」

 最後の銃弾を卍城の顔面に狙う。
 防ぎながらも攻撃を読んでいた彼は、咄嗟に刀身で縦断を防いだ。
 最後の一撃は鈍い音が鳴り、刀身の付け根は、後方の方へ帰ってこないブーメランのように吹き飛んだ。

「ほう、僕が防ぐと見込んで溶接具への集中攻撃…… そしてこの愛武器で防ぐことを予測して僕に壊させるとは…… なかなかやるね君」

 先程までの心底見下していたような顔とは違い、彼は希望を見るかのような明るい瞳で俺を見た。
 彼の武器も壊れたが、俺の残りの銃弾が尽きつつあることに、若干の焦りが芽生えた。

「だが……まだ甘い」

 彼はそう言うと武器を今までとは違い逆手に持つ。
 装飾と思っていた弧を描いたような先端部が、金属音をぶつけたような荒い音を立てて刀身が出てきた。
 2つもあった刀身に俺は乾いた笑いが出る。

「二太刀で使うのは僕には出来なくてね――。それよりも君のような努力による真の境地に立っている人間が大好きだよ。ESPここには、自分を諦めているような人間が大半を占めるからね。僕は君という自分を諦めない少数派に、価値を見出しているんだ。僕って見所も考え方も凄い人間だろう」

 ああこいつは実力もある、まさに完璧人間だろう。
 顔だけがいい俺とは違って能力も最高ランクに強い。
 少しナルシストなところに腹を立ててしまったが、この世界で選び抜かれたらひょいっと飛んでいきそうなくらいには選ばれた人間だ。
 俺はこんな完璧な人間は好
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