ターン35 家紋町の戦い(前)
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ンが浮かぶ。映写だ、とはすぐに分かった。映画と同じ原理で、この広間のどこかから適当な壁めがけて何らかの映像を流している。
そして画面に映っていたのは、ある街の風景。カメラ自体が移動しているらしく、一定の速度で周りの光景が後ろに流れていく。そしてその街並みに、糸巻は見覚えがあった。遅れて気が付いたらしい清明と鳥居が、小さく息を呑む。
「解説の必要はなさそうですが、一応補足しておきましょう。この映像は以前のデュエルフェスティバルの際に貴女方にも提供した、清掃用ロボのカメラから送られてくるリアルタイムの映像です。そして今向かっているのが、と。ああ、どうやら到着しましたね。カードショップ『七宝』、我々元プロデュエリストにとっての生ける伝説、『グランドファザー』七宝寺守の隠れ家……そして、あなたの妹分も住んでいる場所ですね」
「テメエ、何する気だ!?」
「まあ、少し黙っていてくださいよ。今が一番大事なところなんです……と、もう始まっていましたか。予想より早いな」
ぼそりと呟き画面を仰ぐ巴の迫力に有無を言わさぬものを感じ、スクリーンの明かりを頼りに把握した位置めがけ飛び掛かろうとしていた足からどうにか力を抜く糸巻。壁に穴が開くほどの気迫で壁を睨みつけていると、徐々にその店内へと向けられたカメラのピントが合ってきた。何か興奮した様子で、激しく声を張っている。
「……だから!一体あなたたち、なんなんですか!」
後ろで小さく震える友人、竹丸を小さな体で必死に庇いながら、自分も泣き出したくなるのを堪えてきっと睨みつける八卦。本人の脳内にあったイメージ画像としては悪人を震え上がらせる仕事モードな糸巻の眼光が念頭にあったのだが、対峙する男たちの表情を見る限りではあいにくその迫力とは程遠い表情にしかならなかったようだ。
少女たちが学校帰り、最近の日常となったカード談義やデュエルを行うために家紋町では貴重なカードショップである七宝にやってきたときは、まだいつも通りの日常だった。店主であり少女にとっては叔父にあたる七宝寺老人はどこかに出かけているのか店の扉は閉ざされていたが、当然自分の家の合鍵は所持していたためそれを開いた時も、やはりいつもの毎日だった。
そんな日常が崩れたのは、閉められたはずの店内の暗がりに2人組の男が息をひそめていたことに気づいた時だった。
「あ、あなたたち……!?」
咄嗟に少女が視線をやったのは、店内唯一のレジ。早い話が強盗だと考えてのことだったが、レジスターを無理にこじ開けたり持ち去ろうとしていた様子はない。それどころか自分たちの姿を見られたことに慌てたり逃げ出そうとするでもなくデュエルディスクを構えてじりじりとにじり寄ってきたことでようやく自分たち、いや偶然居合わせただけの竹丸は関係ない、
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