邂逅編
第1話 転移・遭遇
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リア王国とは関係が悪く、近年緊張状態が続いているとの事です」
普段は防衛省情報本部としての表の顔を持ち、一方で国家公安委員会とともに日本を影から守る存在である情報機関、防衛省情報局所属の職員が、垂水達に向けて報告を行う。
アメリカにおけるFBIやCIAの役割も担う一方で、北朝鮮による邦人拉致事件が発生して以降は事実上の軍特殊任務部隊としての任務も実施する様になった『現代の忍者』は、外務省職員や使節団の泊まるホテルの従業員に変装して彼らの情報を集めており、垂水達はその情報に大きな注目を寄せていた。
「政治体制は複数の貴族で構成される合議を最高決定機関とする寡頭政治体制ですが、代表は伯爵以下の下級貴族の選挙によって選ばれており、決して非民主的な国ではないとの事です。 また彼らの言語は日本語に類似している一方で、文字はアルファベットとは全く異なる表音文字で、一応ローマ字読みで読める程度の文法であるため、翻訳は然程困難ではないと思われます」
「コミュニケーションの点に於いて問題が生じなかったのは、それが理由か…全く以て理解に苦しむところだが…」
文部科学大臣がため息交じりにそう呟いた直後、沖は職員に尋ねる。
「して、彼らの技術水準はどうなのかね? ワイバーンという大型生物を航空戦力としているのと、独自に無線通信手段を持っている事は「いぶき」からの報告で知っているが…」
「はい。その通信手段に関連する事ですが、基本的な工業技術及び生産手段の水準は15世紀中盤、中世ヨーロッパ中期に該当しますが、通信・医療に関しては現代に近い水準を得ています。 その理由は『魔法』というこの世界特有の生体エネルギーを使った技術の存在があります。例えば魔信機という人体から発するエネルギーないし特殊な鉱石の持つエネルギーを動力として稼働する無線通信システムに、治癒魔法があります。治癒魔法は一部の高い魔力を有した者しか扱うのが難しい魔法ですが、重傷を負った者でさえも瞬時に怪我を治癒する事が可能というものです。 実際、移動中に起きた交通事故にて使節団メンバーの1人が行使し、披露しました」
昨日の昼頃に流れたニュースの内容が垂水達の脳裏をよぎり、納得の声が上がる。職員は続けて報告する。
「また、このロデニウス大陸以外にも複数の陸地と国家が存在する事も確認されており、これらの国・地域に対する情報局職員の派遣も必要であると、情報局はそう結論付けております。 もし我が国に対して敵対的な行為に出ようとする国がいた場合、それらに対する防衛策も必要となるからです」
「つまりは、防衛省に降ろす金を増やせ、という事か。 対外貿易の全てが途絶えた状態でそんな無茶を行えると思うか?」
副総理兼財務相を務める村川仁の言葉に、垂
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