邂逅編
第1話 転移・遭遇
[4/6]
[1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
心に自給率が危険な状態に入っているのも確実ですし、石油も樺太のオハからの融通でどうにか持ち堪えているという状態です。異世界だと認識するには苦い現実ですが」
「しかし、対潜哨戒機乗員の報告を本当の事だとした場合、特自も通常の防衛出動で出さなければならなくなるな。通常兵器で十分に対処可能な存在なのか不明だから…」
矢口がそう言った直後、戦闘指揮所から報告が上がってきた。
『艦長、レーダーに複数の反応を検知。12時の方向から3隻の軍船が8ノットの速力で接近中です。航行機動から民間の漁船や商船ではなく、警備艇クラスの艦艇と思われる』
「来ましたか…機関停止、臨検の受け入れ準備を進めよ。 後方の台湾艦隊に通達、最初の外交的接触は本艦が担う。貴艦はそのまま待機し、相手の動向を注視する様に」
秋津の指示に従い、4隻の軍艦は減速し、相手の船を出迎える準備を進める。そして水平線の向こうから3隻の軍船が現れ、先頭を進む1隻が「いぶき」の真横に接舷を試みてきた。
その軍船は中世ヨーロッパのガレアス船に近い設計をしており、舷側には幾つもの角盾が並べられており、甲板上には油壺や大型のバリスタが並んでいるのが見えた。
「火砲の類は装備していない様ですね。技術水準で言えば、火薬が発明される以前の中世ヨーロッパといったところですか…」
「自衛隊にとっては然程の脅威とはならない事は分かりますね。では、矢口団長」
「ああ…いざという時は頼む」
矢口は秋津にそう言って、部下の外務省外交官である田中一久とともに艦橋を後にしていき、秋津はただ静かに彼を見送るのだった。
その日、日本・台湾両国はクワ・トイネ公国と正式なファーストコンタクトを取る事に成功し、田中率いる外交使節団は3日間の期間をかけてクワ・トイネ公国政府と協議を実施。4日後に日本国及び台湾に向けて外交使節団を派遣する事で決定した。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
西暦2025年1月24日 東京都 首相官邸
クワ・トイネ公国での外交協議から4日後、クワ・トイネ公国の対日外交使節団は日本側の用意した客船で2日かけて日本に来訪し、まずは福岡県福岡市で1日宿泊。そして2日程時間をかけながら西日本を巡ってもらい、最終的に東京に来てもらう予定を立てていた。
そしてこの日、首相官邸では、新たな隣人となるだろう国の使節団に関する報告会を兼ねた閣議が開かれていた。
「まず、今回我が国が接触したのは『ロデニウス大陸』北東部を領土とする寡頭制国家のクワ・トイネ公国です。住民はヨーロッパ系白人や『エルフ』という不老長寿が特徴的な人種を中心とし、大陸南東部に位置する小国『クイラ王国』とは関係が良好な一方で、大陸西部を支配するロウ
[1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ