邂逅編
第1話 転移・遭遇
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ス大陸 クワ・トイネ公国北東部海域
その日は海の上の空が晴れ渡っていた。この世界においてワイバーンと呼ばれる飛龍を操る竜騎士、クワ・トイネ公国軍北部方面飛竜騎士団所属、マールパティマ・ウォーレンティス三等佐官は、自身の率いる2騎のワイバーンとともに、クワ・トイネ公国北東海域の警戒任務についていた。
クワ・トイネ公国から北東の方向には、国は愚か島一つさえ何もない。ただ東に行っても、そこには海が広がるばかりであり、これまでにも幾多の冒険者が東方向へ新天地を求めて進行していったが、今まで帰ってきた者はいない。
そんな何もない空域を哨戒している理由、それは近年、西隣にある大陸最大の国、ロウリア王国と緊張状態が続いているため、船団による東側への迂回、奇襲が行われた場合、これを早期に探知し、対策をとるため、彼らは自分達の相棒を公国北東海域の空へ飛ばしていた。
「マイハーク管制塔、応答せよ。こちらウォーレンティス小隊、担当空域に異常なし。引き続き哨戒を実施する」
『マイハーク管制塔よりウォーレンティス小隊、了解した』
角笛型の通信魔法具である携帯魔導通信機で管制塔と連絡を取り合ったマールパティマは、視線を真正面に戻す。と、その時、真正面の空域に何かが見えた。
「…ん?何だ…?」
突然、自分達の目に入って来た黒点に、3人は揃って目を細める。
自分達以外にいるはずの無い空に、何かが見える。通常は、他の空域から戻る途中の味方のワイバーン以外に考えられない。ロウリア王国からこの空域まで、ワイバーンでは航続距離が絶対的に不足しているからである。
自分達の住むロデニウス大陸から西の位置にある三大文明圏には、竜母と呼ばれる飛龍を洋上で運用するための専用艦があるらしいが、技術的恩恵を受けにくい位置にあるこの文明圏から外れた地にあるはずがない。
粒のように見えた飛行物体は、どんどんこちらに進んで来た。それが近づくにつれ、味方のワイバーンでは無いことを確信する。
「羽ばたいていない…」
「生物じゃないのか…?」
僚騎の竜騎士が不安そうに言葉を言う中、彼はすぐに携帯魔信機を起動してマイハーク管制塔に報告を上げる。
「ウォーレンティス小隊よりマイハーク管制塔、応答せよ!我、北東方面より接近する未確認騎を確認!これより要撃し、確認を行う。現在地、マイハークより東北東400km!」
相手との高度差はほとんど無い。彼らは一度すれ違ってから、距離を詰めるつもりだった。そしてついに3騎は、飛行物体とすれ違った。
その物体は、彼の認識によれば、とてつもなく大きかった。羽ばたいておらず、翼に付いた風車の様な何がが4つ、高速で回っていた。
胴体と翼の先端がピカピカ点滅して光り輝いており、全体的に白色で、胴体と
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