第五百八十七話 開演してその三
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「だからね」
「皆穿かないのね」
「そうだよ、というかね」
「というか?」
「僕はタイツも嫌だけれど」
スターリングは顔を曇らせて話した。
「あのカボチャみたいな」
「あのブルマね」
「あれが特にね」
「嫌なのね」
「何であんなのあるかな」
こうまで言うのだった。
「わからないよ」
「僕タイツのままで前が露骨に出ているのも嫌だよ」
菅はこう言った。
「コッドケースとかある」
「あれだね」
「もう悪趣味としかね」
その様にというのだ。
「思えないよ」
「あれも嫌だね」
「本当にね」
スターリングに心から言った。
「僕はね」
「それは僕もだよ」
「カボチャみたいなブルマも嫌で」
「コッドケースもね」
これもというのだ。
「嫌だよ」
「本当にね」
「やっぱりズボンが一番ね」
蝉玉はしみじみとして言った。
「本当に」
「全くだね、歌劇でも連合だとタイツないから」
スターリングはこちらの舞台の話もした。
「うちの学園の歌劇部でもないし」
「そういえばないわね」
「モーツァルトの作品も実はタイツもあるらしいけれど」
ドン=ジョヴァンニ等がそうだ、当時のイラストではこの無頼の好色家はタイツを穿いていたりする。
「連合じゃ僕の知る限りね」
「ズボンね」
「それでタイツはね」
これはというのだ。
「ないから」
「それでなのね」
「もうね」
それこそというのだ。
「タイツはね」
「ないわね」
「連合ではね」
「タイツを穿く位なら」
菅はこう言った。
「十二単の方がいいかな」
「日本の宮廷の正装ね」
「今も皇室の方が着られるね」
「即位の礼とか凄く重要な式典の時ね」
「男性の皇室の方も礼装になられてね」
「あれが日本の真の礼装よね」
「タキシードやドレスでなくてね」
日本という国ではというのだ。
「そうだよ」
「そうよね」
「ただこの十二単はね」
「重いわよね」
「本当に何枚も重ね着するから」
その為にというのだ。
「恐ろしい位に重くて暑いよ」
「どう見てもそうね」
「あの服での式典はそのまま王朝絵巻だけれど」
「源氏物語とか」
「自分があの服を着ると思うと」
「大変ね」
「重くて暑くて」
今言った通りにというのだ。
「大変だよ」
「絶対にそうよね」
「けれどね」
菅は蝉玉に話した。
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