俺の名は明智小五郎
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の女子の心を折るのは容易い!」
最後の一冊を積み上げ、足場を確認する。二人掛かりで登って耐えられる強度かどうかは怪しいものだが…
「よしっ」
「ほんと何する気なんですか」
「登るんだよ、窓まで」
まだピンときていない小林少年を無理やり本の山に追い立てて窓辺に立たせると、俺は今日一番大きな声を張り上げた。
「あぁー、寒い蔵の中に長時間閉じ込められてたから小便がしたいなぁー!!」
「えっ…えぇ〜!?」
「えっ何?小林君も小便がしたいと!どっちが遠くに飛ばせるか、俺と勝負がしたいと!!」
「何でですか僕まで変なことに巻き込まないでくださいよ」
えぇい、普段は無駄に利発なくせに察しの悪い奴め。
「原理はよく分からんが、与えられた設定の辻褄を合わせれば、俺達はある程度自由らしい。ならば向こう半年はホモ漫画描く気が起きなくしてやろうぜ!ていうかもう俺は辛抱たまらん!」
「処女だからだな!?名探偵・明智小五郎ともあろう人が処女にちんこ見せつけたいとかそんな低俗な!!」
「はン、俺はどうせ密室で小学生に掘られる程度の名探偵」「わあい僕も小便がしたかったんだぁ!!」
即答である。もっとも選択の余地など無かろうがな。俺達はちんこだか何だか分からない股間でモヤモヤしているものをボロンと垂らすと、狙いを遠くに定めて一斉に放尿した。
俺達の盛大な笑い声と共に、世界がフェードアウトして融けていく不思議な感覚が俺を
「……ゆいちゃん?」
ぐったりと机に覆いかぶさる若い女が、スマホの着信を確認して耳にあてた。
『描けた?』
ゆいちゃんと呼ばれた通話相手の声がする。弾むような高い声だ。
「それが……」
今しがた、くしゃくしゃに丸めたネームをノールックでゴミ箱に放り込みながら、彼女は首をもたげた。
「あたし、BL向いてないかも…」
『えー!?なに今更!もうスペースとっちゃったよ!』
「うん、描くよ。描くけど…BLはちょっとだめかも」
『サイちゃんBLデビューと思ったのにー。サイちゃんの絵キレイだから絶対向いてるのに』
「駄目なの…何度描いても立ちションになるの…」
『は!?』
「ごめん〜……なんかユルいの描くからさ、8ページだけあけといて」
そう云って電話を切り、そっとスマホを伏せる。
「―――なんでじゃい」
それだけ呟いて彼女は、再び机に突っ伏した。
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