俺の名は明智小五郎
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育倉庫に閉じ込められて、一体何をどうしろと?」
「ですから」
「そんなことより思い出せ、何故俺達はここに閉じ込められたのか!こじつけでも何かいきさつがあったんだろ?例えばそうだな、明智邸に侵入した怪人二十面相の罠にかかり、俺達はこの蔵に閉じ込められて動きを封じられた…!!」
「怪人二十面相は関係ないですよ」
あっさり却下された。
俺も、いきさつを思い出した。俺と小林少年は、何かあやふやな資料を探しに蔵に入った。そういう設定だ。ちなみに何の資料を探しに入ったのかは分からない。そこは設定されていないのだ。
「…ということは資料を探すこと自体は大した重要事項じゃないのか…」
「ほら、ほら!やっぱりそうですよ!僕たちが蔵に閉じ込められること自体が重要なんですよ!!」
「だ、脱出系かも…」
「ならもっと色々アイテムが置いてあるでしょ!?ここガチで本と椅子しかないですよ!?本を積み上げて脱出できるような密室だったらわざわざ物語にしないし!!」
「しかし俺達を閉じ込めて、一体誰が得を…」
俺から確実に距離を取った小林少年をまじまじと見つめる。そして体育倉庫イベントについて考える。
『体育倉庫閉じ込められイベント』とは!
友達以上恋人未満、的な微妙な距離感の男女が、教師の命令か何かで体育倉庫にボールだか何だかを二人で取りにいかされ、何らかの手違いで閉じ込められる、例のイベントだ。このイベントを経ない少年誌系恋愛漫画は、皆無と云われる程のメジャーイベントである。本当にこんな事が起きたら親御さんから学校に抗議がいくレベルの事故なんだが、恋愛漫画界隈では日常的なハプニングらしい。
つまりおっさんと子供の間で起きていいイベントではないのだ。
だがしかし、例えば。小林少年の整った横顔を眺めながら考える。
もし仮にこいつが小林少年ではなく『小林少女』だったとしたら!?
少年と思われた子供が実はボーイッシュな少女だった。これも少年漫画あるあるだ。現実にそんな状況あり得ないし、じゃあお前、トイレとかどうしてたんだ、それより何よりご両親のやってることは虐待なんじゃないかと不安になるシチュエーションなんだが、これもまた恋愛漫画界では日常茶飯事である。
「……おい小林君」
「……なんですか、なんで急に『少年』を省くんですか」
「これがその…なんだ、お前の云っていた『体育倉庫』なんだとしたら、そのな」
「僕が実は『少女』だとでも?」
声にイラつきが混ざり始めた。
「いやいやいや、これは俺の願望とかではない。ただそういうイベントが発生している限り、異性の可能性が高いのはほら、どちらかというとお前のほうだろ。だからな、念のため…」
「―――確認しますよ。不本意ながらね」
「おう、俺はあっち向いてるから」
目を反らしながらが、俺は内心わ
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