装者達のハロウィンパーティー2020
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サした尻尾。
大きな肉球付き手袋に、ノースリーブのジャケットとショートパンツといった動きやすさ重視の服装。
そう、つまりは人狼だ。
一方、妹であるセレナの方は、首から下をすっぽり覆う巨大カボチャの着ぐるみだ。
脚の生えた丸っこいカボチャが、廊下をてこてこ歩いている後ろ姿は、控えめに言っても可愛らしい。
セクシーな姉と可愛い妹、姉妹で全然違った印象の仮装は、多くの職員達の目を惹き付ける。
もっとも、彼女らを愛してやまない男が居るので、男性職員達は悪戯されてみたいという密やかな願望をゴミ箱に放り捨て、お菓子をどんどん貢いでいるのだが。
「マリィ、セレナ」
と、そこへようやくメイクを終えた彼が現れた。
「ツェルト、やっと来たわね……ッ!?」
「ツェルト義兄さん、待ってまし……ッ!?」
振り返った姉妹は、ツェルトの姿を見て目を見開く。
そこに立っていたのは黒マントに黒ベスト、口から覗く鋭い牙に、カラコン無しでもそれらが映える真っ赤な瞳。
吸血鬼の装いに身を包んだツェルトだった。
「ツェ、ツェルト……その……」
「ツェルト義兄さん、かっこいいです!」
先に口を開き、駆け寄ったのはセレナだった。
「そうか?」
「はい!ツェルト義兄さんのかっこよさが、しっかり引き立ってると思います!」
「ありがとう。セレナもすごく可愛らしいぞ」
そう言って微笑みながら、ツェルトはセレナの頭を撫でる。
そして、マリアの方へと目を向けた。
「マリィはどうだ?似合ってるか?」
「わ、私?そっ、そうね……」
妹に先を越され、一歩出遅れてしまったマリアは、急に話を振られ吃ってしまう。
マリアは改めて吸血鬼ツェルトを凝視し、彼を褒める言葉を探す。
しかし、つい口をついて出たのは……
「似合ってるんじゃないかしら……」
あまりに素っ気ない、ツンとした答えだった。
(わああああああ何言ってるのよ私ッ!もっとこう、あるでしょう!素直にツェルトを褒める言葉がッ!)
自分で言ったことを後悔するマリア。
しかし、ツェルトはそれを見越していたかのように、不敵に笑った。
「どうやら、マリィは素直になれないみたいだな」
「ッ!?ツェルト……?」
ツェルトはマリアの方へと近付くと、その顎に手を添える。
「そんなマリィには、おしおきが必要だよな?」
「な……何を……ッ」
「君の血を貰おうか、可愛いオオカミ女さん♪」
そう言ってツェルトは、マリアの瞳を真っ直ぐに見つめると……その唇を奪った。
「ッ!?〜〜〜〜〜〜〜ッ!?!?!?」
「っぷあ……甘いかったぞ」
口を離し、ニンマリと笑うツェルトに、マリアは両手で口元を隠す。
「なっ、
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