第五章
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「醜いものか」
「それです」
「ゼウス様は我等を認めて下さいました」
「それは我等も同じです」
「ケルベロスについてです」
「いつもあの子を見てです」
「それでわかったのです」
こうゼウスに話した。
「ですから」
「あの子をよくご覧になって下さい」
「それでおわかりになられます」
「必ずです」
「冥界におられる間です」
「そうされて下さい」
「そなた達がそう言うならな」
兄弟であるハーデスだけでなく彼等もならとだ、ゼウスも頷いてだった。
そうして冥界にいる間ヘラと共にケルベロスを見ることにした、すると彼はいつも真面目に番犬の仕事をしていて。
ゼウス達だけでなく冥界の神々が来るとだった。
いつも尻尾を振って三つの頭で愛想よく挨拶をした。
「こんにちは」
「今日も元気だな」
「この通りですよ」
ハーデスに明るく応える。
「僕は元気です、ですから」
「門番の仕事をだな」
「はい」
まさにというのだ。
「やらせてもらっています」
「そうか、じゃあな」
「はい、これからも」
「では頼む」
ハーデスは笑顔で言ってだった。
ケルベロスの頭の一つを撫でた、すると。
彼は嬉しそうな顔になり尻尾を横に振った、ハーデスはその彼を見てからそうしてだった。ゼウス達に宴の場所で話した。
「これから音楽を奏でさせるが」
「それでもてなしてくれるか」
「その時にだ」
ネクタルを飲みつつ話した。
「ケルベロスをよく見てくれ」
「音楽の時にか」
「そうだ」
その時にというのだ。
「よくな」
「何かあるのか」
「見ればわかる」
その時にというのだ。
「ではな」
「それではな」
ゼウスは何かと思いつつ頷いた、そして。
音楽がはじまりそこで宴の場所からケルベロスを見るとだった。
犬は音楽を聴いて楽しそうにくつろいでいた、ゼウスはそれを見て言った。
「あの者は音楽が好きか」
「そうなのだ」
実際にとだ、ハーデスは応えた。
「あの様にな」
「そうだったのか」
「それでオルフェウスが来た時はな」
「あの者か」
「ついついあの者の竪琴の音に心を奪われ」
そうしてというのだ。
「聴き入ってしまってな」
「通らせてしまったか」
「あの時は参った」
実にというのだ。
「結局あの者の妻は返したがな」
「オルフェウスの愛に打たれたな」
「わしもあの者の竪琴に惹かれた」
そうなってというのだ。
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