暁 〜小説投稿サイト〜
戦国異伝供書
第百十話 兄と弟その十一

[8]前話 [2]次話
「茶器も揃えてな」
「そうしてですか」
「しようとな」
 その様にというのだ。
「考えておる」
「それでそれがしもですか」
「するか」
「はい、何やらです」
 小次郎は興味深そうに頷いて述べた。
「面白そうなので」
「そうしたことをすることもな」
 それもというのだ。
「武士の嗜みになってきておるからな」
「だからですか」
「家の他の者達も集めてな」
「そうしてですか」
「皆な」
 家の者達もというのだ。
「飲もうぞ」
「茶を」
「そしてな」
 そのうえでというのだ。
「楽しもうぞ、何でも織田家ではな」
「あの家では」
「その茶道が織田殿ご自身がお好きでな」
「織田吉法師殿が」
「それでじゃ」
「家中で、ですか」
「広まっておるという」
「左様でありますか」
「随分とな」
 そうなっているというのだ。
「どうもな」
「天下人の家では」
「織田殿は何でも酒が飲めぬという」
「そうなのですか」
「それでな」
 このことがあってというのだ。
「あの方はな」
「茶をですか」
「お好きでな」
 それでというのだ。
「何かとじゃ」
「そうですか」
「だからわしもな」
「茶道もですな」
「していく」
「そうですか」
「奥羽は都と遠くな」
 そしてというのだ。
「どうしてもそういうことはな」
「縁が薄いですな」
「安達ケ原では鬼が出るとさえ言われた」
 かつてはというのだ。
「鬼婆がな」
「あの話ですか」
「まことの様じゃが」
「あれはまことの話ですか」
「どうもな」 
 政宗は真顔で話した。
「その様じゃ」
「そうだったのですか」
「うむ、しかしな
「鬼が出るまでに」
「奥羽は僻地と言われ」
 そしてというのだ。
「そうしたな」
「文化の話とはですな」
「縁が薄いと言われておったが」
「これからは」
「上方に入り天下も治めるし」 
 それを目指すこともあってというのだ。
「それでzた」
「そうしたこともですな」
「どんどん学んでな」
「身に着け」
「奥羽の者は野蛮だの何だのな」
「その様なことは言われぬ」
「その様にしていこうぞ」
「さすれば」
「だから茶道もな」
 これもというのだ。
「していこうぞ」
「そうなりますな」
「うむ、ではな」
 政宗は弟とこうした話もして茶道も入れていっていた、奥羽にあっても彼はその隻眼で遠い都そして天下を見ていた。


第百十話   完


                 2020・8・15
[8]前話 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ