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ドリトル先生と牛女
第七幕その十
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「問題だったんだ」
「日本の有名な作家さんだよね」
「沢山の名作を残した」
「ドイツ留学もしていて」
「エリートだったんだよね」
「そう、エリート中のエリートだったんだ」
 この人はというのです。
「当時はね」
「今の東大医学部を卒業して」
「ドイツでも優秀で有名で」
「凄い人だったね」
「それで陸軍のお医者さんのトップにもなったけれど」 
 それでもというのです。
「細菌の権威でもあって細菌にこだわって」
「脚気は伝染病って信じ込んでいたんだ」
「そうだったんだ」
「それで脚気についてもなんだ」
「栄養が原因とはね」 
 それはというのです。
「思っていなくて」
「それで陸軍では脚気が多かったんだ」
「そうだったんだ」
「あの人が陸軍にいたから」
「それでなんだ」
「逆に海軍ではね」
 こちらの軍ではといいますと。
「違っていたんだ」
「そうだったのね」
「海軍では」
「あちらでは」
「そうだよ、海軍は同じ船の中で水兵さんはなっても士官の人はならなかったから」
 その脚気にです。
「何故かって思ってね」
「同じ船にいたら伝染病だと誰でもなるよね」
「そうなるね」
「閉じられた空間だから」
「どうしてもね」
「そこからおかしいって思って」 
 そうしてというのです。
「水兵さん達はご飯、士官の人達はパンを食べていたから」
「そこから考えて」
「脚気への対策をしていったんだ」
「そうだったんだ」
「それで水兵さんの食事を麦ご飯にしたら」
 そうしたらというのです。
「もうね」
「それでなのなの」
「脚気になった人がいなくなった」
「それでわかったんだ」
「なった人はいたけれど」
 麦ご飯を食べた水兵さんにもです。
「ちゃんと食べていなかったからね」
「答えは出てるね」
「もうそれでね」
「それで海軍は麦ご飯を食べる様になって」
「脚気はなくなってたんだ」
「そうなんだ、脚気はね」
 本当にというのです。
「日本で深刻な問題だったんだ」
「壊血病はそうでなくても」
「問題は脚気だった」
「あの病気がどうか」
「ずっと問題だったんだね」
「森鴎外という人がね」 
 先生は困ったお顔で言いました、論文を書きながらもどうしてもそうしたお顔になってそれで皆にお話するのでした。
「どうにもならなかったんだ」
「あの人だね」
「小説家として凄い業績を残したけれど」
「翻訳家としても有名で」
「文豪でもあったけれど」
「それでもなんだ」
「本業のお医者さんとしてはね」
 どうにもというのです。
「言うなら官僚で官僚としてもね」
「よくなかったよね」
「脚気を防げなかったから」
「それじゃあ」
「物凄く出世欲と名誉欲も強かった
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