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ドリトル先生と牛女
第七幕その九
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「かつてはね」
「ヤツメウナギねえ」
「あの変わった生きものね」
「実はお魚じゃない」
「そうした生きものだったね」
「そう、あの生きものの干物を食べてね」
 そうしてというのです。
「鳥目を防いでいたんだ」
「昔の日本はそうだったんだね」
「今よりも栄養状態が悪くて」
「脚気が問題になっていて」
「鳥目の人も多かったんだね」
「それで特に脚気がね」 
 この病気がというのです。
「問題だったんだ」
「江戸腫れとか大坂腫れとか呼ばれてて」
「軍隊でも問題だった」
「先生前にお話してくれたね」
「うん、白いご飯ばかり食べていると」
 おかずを食べないで、です。
「脚気になるんだ」
「麦のご飯とか玄米だとならないんだよね」
「あとパンを食べていたら」
「それでならないわね」
「けれど昔は脚気の原因がわからなくて」 
 そのせいでというのです。
「多かったんだ」
「沢山の人が死んだんだよね」
 トートーは暗いお顔で言いました。
「昔の日本では」
「壊血病と同じだね」
 ホワイティも言います。
「それじゃあ」
「というかね」
「日本で脚気はかなり深刻な問題だったのよね」 
 チープサイドの家族も言います。
「戦争にも影響していたから」
「日清戦争でも日露戦争でも」
「戦死者も多かったけれど脚気で亡くなった人も多くて」 
 老馬はその戦争のお話をしました。
「問題だったんだよね」
「ロシア軍は壊血病だったわね」
 ダブダブは日本の相手のお話をしました。
「もやし食べられるの知らなくてね」
「それで日本軍は脚気だった」
「白いご飯ばかり食べて」
 オシツオサレツは二つの頭で言います。
「特に陸軍さんが問題で」
「どんどん倒れていたんだったね」
「そう思うと脚気は怖いわ」
 ポリネシアは真っ青になっている感じです。
「あの病気もね」
「壊血病も怖いけれど脚気も怖い」
 チーチーはしみじみとして言いました。
「そういうことだね」
「このことは覚えておかないといけないね」
 ジップも言います。
「脚気のこともね」
「白いご飯ばかりだと駄目なんだね」
 最後にガブガブが言いました。
「おかずやパンも食べないと」
「そうなんだ、白いご飯だけだとよくないから」
 先生も言います。
「栄養的にね」
「だからだね」
「そこは何とかしないとね」
「まずは脚気にならない」
「そのことからだしね」
「今は栄養のことだってわかっているけれど」
 それでもというのです。
「昔は細菌、伝染病と言う人もいたんだ」
「原因がわからなくて」
「それでよね」
「そう言われていたんだね」
「脚気は伝染病って」
「作家の森鴎外、本名森林太郎がね」
 先生は明治
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