第四章
[8]前話
「あんたはそのままでいいわ」
「そのままで、ですか」
「ぶりっ子でもね」
「けれど先輩は」
「あんたはそのままでいいわ」
楓に微笑んで告げた。
「今はそう思うわ」
「そうですか」
「そのままでいって」
そしてというのだ。
「健康で前向きだったらね」
「いいですか」
「ええ、そうしたらあんた今よりずっとよくなるから」
それでというのだ。
「そのままね」
「頑張っていけばいいですか」
「というか私もあんたのその前向きさ見習って」
そして健康志向もだ。
「頑張っていかないとね」
「先輩がですか」
「今はそうした考えよ」
陽子はこう言いながら自分の昼食を食べた、それは自分で作ったもので昨日の残りものだった。メニューはお握りと野菜炒めそして梅干しだ。
「だからあんたもね」
「これまで通りですね」
「頑張っていってね」
「わかりました」
「そういうことでね、あとあんたは今日は」
ここで楓の弁当のメニューを見た、それはというと。
サンドイッチで中にはハムや卵、トマトやレタスがある。そして飲みものは野菜ジュースでデザートには林檎だった。
「サンドイッチね」
「昨日の夜はこれでしたから」
「それでなのね」
「朝も食べて」
そしてというのだ。
「お昼もです」
「そうなのね、けれど」
「けれど?」
「それ一人で作ってないでしょ」
陽子は目を鋭くさせて指摘した。
「そうでしょ」
「まあそれは」
「同棲はじめた?」
「言わないってことで」
「それはいいけれどね」
実はツイッターを見ると明らかに交際相手が出来ていた、それで陽子もカマをかけたがサンドイッチは実際にそうした出来だった。
「私もいるしね、近々結婚するし」
「そうなんですか」
「その時になったら言うわね」
「はい、宜しくお願いします」
「二人暮らしもはじめるし」
その同棲もというのだ。
「その時になったらね」
「またお話して下さい」
「それじゃあね」
自分のお弁当を食べつつ楓に言う、陽子はもう楓のぶりっ子はどうでもよくなっていた。それ以上に彼女のいい部分を多く知ったからこそ。そうして二人はそれぞれ結婚してからも仕事を続けずっと仲のいい先輩後輩でいた。お互いのよさをよく知る二人でいた。
健康系ぶりっ子 完
2020・10・29
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