☆なぐさめる話。
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が死ぬんじゃないかと思うくらいの強さで、突くつもりだろう。
だから
「どういうつもりだ…マイ。」
「お栄ちゃん…何もそこまではしなくて、いいよ。」
振り上げられた筆は、僕が掴んで止めさせた。
「…こいつァ、マイを酷い目にあわせたんだぞ?」
「殺すことは…しなくてもいいと思う。」
「でもナ…おっ!?」
お栄ちゃんの攻撃が止んだ。
その時桐生は最後の力を振り絞り、お栄ちゃんをどかして慌てて起き上がった。
「ひぃ…ひいいいい!!!」
「あ、おい待て!!」
彼のあそこまで情けない顔は見たこと無かった。
半ばコケながら慌てて走り、一定距離まで逃げると振り向き
「許さない…お前達…絶っっ対に許さないからな!!」
殺してやる…殺してやる…!!
そう捨て台詞を呟きながら、腫れ上がった顔を涙で濡らして桐生は逃げるように帰っていった。
「…。」
「…いじめられてたのかい。」
2人だけになり、少しの沈黙が流れた後お栄ちゃんが聞いてくる。
「…うん。」
「今日が初めてじゃねぇだろ?いつからだ。」
「去年の10月…ここに転校してきてすぐ…かな。」
「…。」
身体の色んなところが痛い。
立ってるのもやっとだ。
そんな僕を察してか、お栄ちゃんは僕の肩を持つ。
「どうにかしようとは思わなかったのかい?」
「どうにかって…僕には何も出来ないよ…それに…。」
「それに?」
「耐えてれば…今を耐えてればまた平和な学校生活が送れる。」
「…。」
黙り、少し考えてからお栄ちゃんは言う。
「それって…"平和"なのかい?」
「…!」
「上から虐げられ続けて、それに我慢してびくびくしながら生活する。あいつは悪代官か?んなのちっとも平和とはいわねぇとおれは思うけどナ。」
「でも…。」
僕には何も出来なかった。
物語の主人公みたいに、勇気を出すことも、立ち向かうことも。
後が怖いから。現状で我慢し続けてきた。
「もういい、これ以上話すな。家に帰ろう。」
「…ごめん。」
お栄ちゃんに寄りかかるようにして、足を引きずりながら帰っていく。
「お前さんにゃそれも含めて聞きたいことが山ほどある。続きは…帰ってべっどで聞かせてもらうからナ。」
「うん………え?」
?
それから
誰もいなくなった体育館裏。
「うーん。まさかサーヴァントが直接助けに来るとは思わなかったぞ。」
そこを体育館の屋根から見下ろす者がいた。
姿形は人間であるものの、その背中にある翼からして明らかに人ではないことは明らかだ。
「マスターに頼まれて来たけど、これじゃ私のやることなくなっちゃったじゃないか。」
そよ風に長い髪を揺らし、彼女は呆れなが
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