始まりから夏休みまで
逆鱗に触れる話
[5/6]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
よなぁ?どうしててめぇみたいなオタクが彼女いて俺には出来ねぇの?おい。」
取り巻き達が次々と野次を飛ばす。
そして桐生は
「チャンス…あげるよ。」
「チャンス…?」
ずいと顔を近づけ、僕に飛び切りの笑顔を見せる。
「その彼女…僕にくれよ。」
「…!!」
「僕にくれさえしたら、もう僕は君を相手にはしない。その辺の石ころ程度くらいには思っとくよ。」
つまり、お栄ちゃんを桐生に差し出せば、桐生はもう
僕を…いじめなくなる。
破格の条件だ。ただそれだけすれば僕は平和な学校生活を送れる。
なんてこともなく、嫌がらせもいじめも無くなり、普通の学生としての生活が出来るようになる。
でも…。
「ごめん…。」
「ん?なに?」
「それは…できません…。」
僕にだって、
こんな僕にだって譲れないものは一つだけある。
「…は?」
「出来ない!!この人は!君なんかに渡せな」
突如、腹部に走る鈍痛。
「が…がほっ…っ…!!」
桐生が僕を蹴飛ばしたんだ。
勢いあまり僕は倒れ、仰向けになる。
「ごめんごめん。聞こえなかったよキモヤシくん。で、彼女を僕にどうするんだっけ?」
「君に…おまえなんかに…お栄ちゃんは…!!」
「ゴタゴタうるせぇんだよクソオタクがよぉ!!」
胸の辺りを思い切り踏みつけられる。
身体の中の空気が無理矢理吐き出され、変な声が出た。
「おい、今の口答えはなんだ?おい、もう1回言ってみろよ?え?」
「おまえに…わたす…もん、か…!」
「ちっ…おい。」
桐生が舌打ちし、取り巻きに指示を出す。
「死なない程度に殴れ。騒ぎは僕の母さんが揉み消してくれるけど、あまり派手にやるなよ。」
「おう。」
そう言い、桐生は少し離れた場所に座り高みの見物と洒落こんだ。
そして僕は
「オラァ!!」
「っ!」
無防備な脇腹に鉄パイプを叩き込まれる。
踏まれる、蹴られる、叩かれる。
取り巻き十数人の暴力が僕に襲い掛かる。
耐えろ、耐えろ…耐えるんだ…!
いつ終わりが来るか分からない。
でも、こうやって耐え続けていれば必ず終わってくれる。
「な、なぁ桐生…いくらなんでもやりすぎじゃ…。」
「ほら暮馬くん。キミもやりなよ。じゃないと明日から無視するけど。」
「…!!」
取り巻きの1人がおどおどしながら暴力を振るうことを戸惑っている。
でも、彼以外の全員はこうして遠慮なしに僕を虐げる。
どうして僕はあんなことを言っちゃったんだろう…。
あの時大人しくお栄ちゃんを渡せば…僕はこうなることもなかったのに…。
僕は…どうして…。
「何してんだい?」
その時、聞き覚えのある声が聞こえて暴力がやん
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ