始まりから夏休みまで
逆鱗に触れる話
[4/6]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
「小物だな。だからあの人と比べられんだよ。"田所くん"。」
「ッ…!!」
なんて言ったかは良く聞こえなかったけど、友作くんがそう言うと桐生は舌打ちし、取り巻きを引き連れ教室から出ていった。
そして去り際に
「キモヤシくーん。」
「…!」
「放課後、体育館裏に1人で来てくださーい。」
妙に間伸びした声で、まるで放送アナウンスのように桐生は言った。
「1人で来いよ。もしそこの奴連れてきたりすっぽかしたりしたらどうなるか…わかってるよね?」
最後に笑顔を向け、桐生は帰る。
緊迫していた空気がほぐれ、今まで黙っていた生徒達も再び談笑をする。
「葛城…あいつの言うことは別に聞かなくても…」
「ううん…ちゃんと行くよ。」
「はぁ!?」
体育館裏に来い。そう言われた。
おそらくその約束を破ろうものなら明日の僕はとても酷い目にあうだろう。
だから、行く。
被害はあるのは分かる。だからそれを最小限にするため行かなきゃ行けないんだ。
?
それから、
授業をこなし、昼休みも他愛ない会話で過ごし、時間はあっという間に過ぎていった。
そして放課後。
「…来たよ。」
友作くんや2人の反対を押し切り、僕はこうして体育館裏にやって来た。
体育館裏に呼び出される。
こんなのいじめのお約束だ。
「へーよく来たね。えらいよキモヤシ君。」
「マジで来るとかキモっ!」
取り巻きの女子が手を叩きながら笑う。
何がキモイんだろう…。
「さて…実は君に質問したいことがあってね?」
気がつけば僕の周りには取り巻き達が。
つまり、もうここからは逃げることはできなくなった。
「金曜日…どうして休んだのかな?」
「金曜…。」
3日前…それは一日中お栄ちゃんと交わってたあの日。
でも、正直には言えないから誤魔化そう。
「その…実は前の日から熱っぽく」
「嘘ついてんじゃねーよ。」
言葉が遮られ、背中に衝撃を受けて倒れ込む。
真後ろにいた取り巻きが僕の背中を蹴り飛ばしたんだ。
「な、なんで…僕嘘なんか…!」
「僕はね、なーんでもお見通しだよ?キモヤシの分際で一丁前に彼女なんか連れちゃってさぁ!」
「…!!」
桐生が取り巻きの1人を顎で指示する。
すると取り巻きはスマホを取り出し、ある動画を僕に見せた。
それは…
「これって…!」
「僕の友達が偶然見つけちゃったんだよねー。土曜日のだけどさ、金曜日も大方彼女といちゃついてたんだろ?」
スマホに映っているのは、喫茶店で仲良く話し合っている僕とお栄ちゃん。
ということはあの時…誰かに見られてたんだ。
「キモヤシが彼女!?チョーキモいんですけど!!」
「釣り合わねぇ
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ