始まりから夏休みまで
逆鱗に触れる話
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いくらなんでも早すぎでしょう?私は今年茨木ちゃん来ると信じてますからね!」
「いいや!カーミラさんだね!カーミラさんの水着に平野の魂を賭ける!」
とまぁ、陰キャ特有のゲーム話をして楽しく過ごす。
傍から見れば暗い連中かもしれないけど、僕はこれで充分楽しい。
目立つ必要なんかない。ただなんの障害も不幸もなく隅っこでひっそりと暮らせていればそれでいいんだ。
そう、
なんにもなければ
「おっ!相変わらずキモオタゲーの話してるね!それしかないの君達。」
そんな平和な空気をいつも壊しに来る奴がいる。
「わざわざ他クラスから起こしいただいてご苦労様ですねぇ!」
多数の取り巻きを引き連れた、この学年のリーダー的存在。
「皮肉か?まずは桐生に挨拶しろよ、キモオタ平野。」
「は、はいぃ!!」
桐生浩二。
母親が政治家であり、いわゆるエリート。
性格に難アリで、取り巻きを引き連れこういった僕らのような弱者をいじめるのが日課だ。
勇敢にも皮肉混じりに啖呵をきった平野くんだけど取り巻きの一際筋肉のついたチャラ男にビビりすぐに引いてしまう。
そしてタクヤくんは
「な、なんだよお前ら…もう金なら持ってねぇぞ!」
完全に怯えていた。
「…。」
「おーい。キモヤシ君♪挨拶は?」
「…。」
そして僕もまた、反抗したらいじめられるのが怖いので
「おはよう…ございます…。」
従うしかない。
「いいねいいね。キモヤシ君はちゃんと身分を弁えてるね。」
「ぎゃははは!マジウケる!てかキモすぎなんですけどぉ!」
頭を下げ、取り巻きたちの笑い声がこだまする。
耐えろ。これを耐えれば平和に過ごせるんだ…!
もし嫌だなんて言ったら…もしは向かおうものなら…この学校にはいられなくなってしまう。
「ねぇキモヤシ君。ちょっとお話したいんだけどいいかなぁ?」
「え…?」
桐生が僕に詰め寄る。
キモヤシというのは僕のあだなだ。
もやしみたいに細くて長い身体で、気持ち悪いから合わせてキモヤシ。
彼らはそれで面白がっているが、なんも面白くない。
でも、一緒になって笑わなきゃひどい仕打ちが待っている。
そして、
「先週の金曜日のことなんだけどさぁ…。」
「おい、寄ってたかって何してんだ?」
低い声が響く。
その方向を見てみれば僕の友達、友作くんがいた。
「ちっ…なんだよ。僕はただコイツらと仲良く話してただけだけど?」
「そうか?こいつらは怯えっぱなしで楽しそうには見えなかったけどな?」
自分の机に鞄を置き、友作くんは桐生に近付く。
力仕事メインのバイトをしている彼はそこそこ筋肉がついており、顔も相まってそこそこの怖さがあった。
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