第六幕その六
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「無念だよ」
「というかあんな人の悪戯半分防げるって凄いですよ」
オジョはこう考えました。
「むしろ」
「関羽さんでないとね」
ビリーナも言います。
「半分でも無理よ」
「オズの国一の悪戯者と言ってもいいわね」
オズマはぼやく様にして言いました。
「孫悟空さんは」
「そうでしょ、あの人の悪戯を半分でもさせないことは」
「関羽さんならではね」
「本当にそうよ」
「何しろお一人で天界を荒らし回ったから」
「物凄く強いしね」
「すばしっこくて頭の回転も速くて」
それでというのです。
「器用だから」
「そんな人の悪戯防げる人は」
それこそというのです。
「半分でもね」
「関羽さんだけよ」
「その半分が困ったもので」
関羽さんはその切れ長の目、鳳眼と言われるその目を困ったものにさせてそのうえでお話するのでした。
「髭をくくられたり顔に落書きされたり」
「そうされるからですか」
「それがしも困るのだよ」
オジョに答えました。
「どうにも」
「そうですか」
「流石に髭を切ったり焦がしたりはしないがね」
そうした悪戯はしないというのです。
「そこまではね」
「その奇麗なお鬚をですね」
「何でも切ったり焦がしたりするには勿体ない」
関羽さんのお鬚はというのです。
「そうしたものだと言ってね」
「孫悟空さんもそこはわかってるんですね」
「あとモジャボロさんのお鬚も」
オズの国のもう一人のお鬚が有名な人です。
「そうするには勿体ない」
「だからですね」
「そう、だからね」
それでというのです。
「悪戯はしないよ」
「そうですか」
「そう、だからね」
「切ったり焦がしたりまではですね」
「しないんだよ」
「いいことです、本当に」
オジョも言うことでした。
「孫悟空さんもわかっておられるんですね」
「悪戯好きでも悪人ではないからね」
「孫悟空さんは」
「これは猪八戒さんも沙悟浄さんもだよ」
三人共、というのです。
「だからね」
「それで、ですね」
「オズの国にもいるんだよ」
「そうですね」
「猪八戒さんは随分食べて女の人が好きだけれど」
それでもというのです。
「憎めないよ」
「そうしたところがかえって」
「あと沙悟浄さんの生真面目さもね」
このこともというのです。
「いいものだよ」
「そうなんだね」
「そう、ただね」
「ただ?」
「本当に孫悟空さんの悪戯好きはね」
どうしてもという口調でした。
「困ったことだよ」
「私やドロシーには何もしないのよね、あの人」
オズマはこれまでの孫悟空さんとのことを思い出して述べました。
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