第六幕その三
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「お好きよ」
「それは桃が神聖なものだからですね」
「中国ではそうね」
「魔を祓うとも食べると長生きするとも言われています」
「霊力のある果物ね」
「ですから」
だからだというのです。
「桃はいいものです」
「それで孫悟空さんもお好きだけれど」
「関羽様もですね」
「お好きよ」
「ではーーです」
チクタクがここで言いました。
「まずはーー桃園にーー行きまーーしょう」
「お屋敷に入る前になのね」
「そこーーおられるーー気がーーしますーーので」
だからとです、チクタクはオズマに答えました。
「ですーーから」
「それじゃあまずは」
「はいーー行きまーーしょう」
こうしてでした、皆で桃園に入りますと。
桃林の中央に卓と椅子があってでした。
緑の中国の服とズボン、鎧と兜を着けたとても大きな人がいました。赤いお顔で切れ長の目にとても長いお鬚を生やしています。
その人を見てです、神宝は満面の笑顔で言いました。
「この方がです」
「関羽さんだね」
「そうだよ」
ボタンにも答えます。
「この方がね」
「前にお会いしたことあったけれど」
「立派だよね」
「うん、物凄く大きくて」
ボタンも答えます。
「長いお鬚を生やしているね」
「そのお鬚もなんだ」
胸まであるそのお鬚もというのです。
「関羽様の特徴なんだ」
「そうなんだね」
「それで美髯公とも言われているんだ」
「お鬚が奇麗だからなんだ」
「それでなんだ」
まさにというのです。
「だからね」
「そうも呼ばれていて」
「特徴の一つでもあるんだね」
「そのお鬚がね」
「成程ね、じゃあ今から」
「関羽様に挨拶しよう」
「それじゃあね」
「これは」
神宝達がお話した時にです、その関羽さんがです。
とても男らしい声を出しました、そしてオズマ達を見ますと。
立ち上がってです、そうして左の拳を右の平手で包んで胸の前に置いて頭を垂れて挨拶をしました。
「オズマ姫、ご機嫌麗しゅう」
「こんにちは、関羽さん」
「今日は何のご用件でしょうか」
「実はね」
畏まる関羽さんに事情をお話しました、そのうえでこうも言いました。
「その途中にお会いしたくてね」
「来られたのですか」
「そうなの」
「左様でしたか」
「ええ、それでね」
オズマは神宝達五人を手で指し示してお話しました。
「この子達がね」
「オズの国の名誉市民の子達ですね」
「そうなのよ」
「そうですか、お話は聞いていましたが」
関羽さんはもうお顔を上げています、見れば本当に身長は二メートルを超えていてとても逞しい身体つきです。
「はじめてお会いします」
「では挨拶をしてくれるかしら」
「はい、それがしの名前は関羽雲長
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