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ドリトル先生と牛女
第六幕その五

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「幾ら何でも」
「そうかのう」
「その十分の一でも多いかな」
「十万で」
「ちょっとね」
「いやいや、金の心配はいらん」 
 砂かけ婆は先生にこう言ってきました。
「わしは砂金も出せる」
「砂だけじゃなくて」
「うむ、だからな」
 それでというのです。
「お金の心配はいらんからな」
「それでなんだ」
「十万では」
 それだけしか受け取ってもらえないことはというのです。
「少ない」
「では」
「せめて半分」
「五十万を」
「受け取って欲しいのじゃが」
「そうなんだね」
「そこは頼む」
 こう言うのでした。
「百万が駄目でもな」
「そこまで言うのなら」
 先生も頷いてです、そうしてでした。
 実際に五十万だけ受け取りました、そのうえで研究室に来た皆のお口の中を歯科室に移ってそこで診ました。
 その診察の後でこう言いました。
「皆大丈夫だよ」
「虫歯はないのね」
「うん、一本もね」
 ろくろ首に答えました。
「皆ないよ」
「それは何よりね」
「今が大丈夫ならね」
「この状態を維持することね」
「歯磨きはこれからもね」
 先生は妖怪達に穏やかな笑顔でお話しました。
「しっかりとね」
「磨いていくことね」
「特に寝る前にね」
 この時にというのです。
「しっかりとね」
「それじゃあね」
「甘いものは食べていいけれど」
「歯磨きはしっかりと」
「そうして」
 そのうえでというのです。
「歯を健康なままでね」
「それじゃあね」
「あとね」 
 ここで、でした。先生はさらに言いました。
「鬼君の歯が凄かったね」
「わしの歯が」
「特に強いね」
「まあわしの歯は自慢だな」
「実際にだね」
「何でも噛み砕けるということで」
 まさにというのです。
「自慢だよ」
「だからこれからもね」
「歯を磨いてだね」
「その強さを保っていってね」
「そうさせてもらうよ」
 是非にというのでした。
「わしも」
「そうすればね」
「これからも美味いものを楽しんで食えるな」
「そう出来るよ」
「それは何より、では今宵は焼肉に」
 それにというのです。
「日本酒もな」
「飲むね」
「そうするとしよう」
 鬼は楽しそうに言いました。
「是非」
「それではね」
「尚焼肉は牛のだよ」
「そちらの焼肉だね」
「最近羊も好きだが」
 こちらのお肉を焼いたものもというのです。
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