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自分勝手な母親と心優しい娘
第二章
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 そして夫も頷いてくれて犬は無事に家で飼われることになった、犬は身体を隅から隅まで洗われて獣医にも診てもらってだった。
 ご飯も水も安定して食べる様になり散歩にも連れて行かれる様になった。だがそんな中で、であった。
 夫の源一郎、優しい目に短い黒髪で分厚い唇で一八〇近い背で力士の様な体格の彼は妻の話を聞いてく持った顔で言った。
「そんな人だったんだな」
「あの人はね」
「確かに僕もいい印象は受けなかったけれど」
「ええ、私もだったけれど」
「そこまでだったとはね」
「もうね」
 それこそというのだ。
「私のことを言い回ってるのよ」
「あの時勝手に抜け出したとか」
「そんなことしてないのに」
「あちらから言ってきたんだよね」
「汚い犬だからさっさとって言ってね」
 妻は夫にこの時のことを話した。
「そうしてね」
「行かせたのに」
「それがなのよ」
「後でそんなこと言うなんて」
「だからね」
 それでというのだ。
「私もね」
「困ってるんだな」
「それがね、栄子ちゃんが学校でちゃんと言ってるのよ」
「実はどうだったか」
「そうなの、あの人が言っていることと違ってね」
「実は奥さんが自分から言ってだね」
「あの人がさっさとって言ったことをね」
 まさにこのことをというのだ。
「全部お話してくれて子供達からお母さんにお話してくれて」
「それで皆実際のことわかっているんだ」
「そうなの」
「そうか、栄子ちゃんはいい娘だ」
「凄くね」
「それで嘘を解いてくれたんだな」
「そうなのよ」 
 自分の母親のそれをというのだ。
「有り難いことにね」
「本当にそうだな」
「ええ、ただね」
「ただ?」
「あのお母さんからあんないい娘が出来るなんて」
 栞奈はこのことを不思議そうに言った。
「わからないわね」
「それはな」
「そうでしょ」
「トンビが鷹を生んだのか」
「ご主人や一緒に住んでいるお舅さんやお姑さんは凄くいい人だから」
「その人達の影響かな」
「そうかも。いいお家におかしな人が入ることもあるし」
 そのおかしな人が誰かは言うまでもなかった。
「そういうことかしら」
「そうかもな、しかしな」
「それでもよね」
「今回はよかった」
「ええ、栄子ちゃんには本当に助けてもらったわ」
 栞奈はこのことを心から感謝した、そしてだった。
 このことをよしとして犬を育てていった、犬はいつもいいご飯をあげて散歩をしてブラッシングをしてだった。
 そのうえで時々入浴もさせているとだった。
 犬はかなり整った外見になった、雌なのでメリーと名付けられた彼女は散歩の時も家にいる時も美形で評判になった。
「あの汚いワンちゃんがね」
「こんなに奇麗になるなんて」
「思わなかった
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