第二章
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「だからな、前田さんに何かあったら」
「その時は」
「ジョンが心配だな」
こう言うのだった、そして。
その時が来た、お婆さんが倒れてしまったのだ、そのまま入院して家に帰らずすぐに亡くなってしまった。
ジョンは彼だけになった、すぐにお婆さんの葬式が行われた。そのうえで。
逵本が家に入ったが父はその彼女を見て息子に言った。
「あの人みたいにはなるなよ」
「あの人悪い人なの?」
「ああ、あんな悪い人はいない」
「そうなんだ」
「そのことはお前が大きくなったらわかる」
何故逵本が悪人か、というのだ。
「大人になったらな」
「そうなんだ」
「本当に悪い人だからな」
それでというのだ。
「あんな人みたいにはなるなよ」
「うん、けれどジョンどうなるのかな」
「大変なことになるな」
「そうなの」
「お前はジョンをどうしたいんだ?」
ここで父は息子に問うた。
「一体」
「僕が?」
「ジョンと仲がいいよな」
「大好きだよ」
義信は父にすぐに答えた。
「だって友達だから」
「そうだな、じゃあ友達が困ったら助けたいな」
「うん、絶対にね」
「だったらお父さんに考えがある」
「考え?」
「すぐに用意する、時間はかかるけれどな」
こう言ってだった。
父は何かをはじめることにした、だが義信はその父の横でお婆さんの家から家具がどんどん出されてだった。
ジョンが家から出されそうしてクッションが放り出されたのを見た、逵本丸い目で歯がやたら出た面長で黒髪を短くした半魚人の様な顔の女が彼を汚いものを見る目で一瞥してから去ったのを見た。義信は彼女にいい印象を持たなかった。
ジョンは誰もいなくなった家にぽつんといるだけになった、食べるものも飲むものもなくそこにいるだけになった。
そのジョンにだ、義信は。
自分の給食の残りやおやつをあげた、飲みものもだ。父はその彼に言った。
「今色々しているからな」
「色々?」
「ジョンはうちの犬になるからな」
「けれどうちで犬は」
「大丈夫だ、引っ越すからな」
父は息子に答えた。
「そうするからな」
「引っ越すんだ」
「住んでいる町は同じだけれどな」
それでもというのだ。
「ペットが飼える場所に引っ越すんだ、あとジョンをな」
「うちで飼うんだ」
「その手続きもしたからな」
それでというのだ。
「引っ越すまでジョンにご飯をあげるんだ」
「うん、わかったよ」
「ドッグフードとミルク買ったから」
母も言ってきた。
「だからね」
「ドッグフードあげたらいいんだね」
「ええ、けれど義信自分からご飯あげたわね」
母は息子にこのことを尋ねた。
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