暁 〜小説投稿サイト〜
魔法絶唱シンフォギア・ウィザード 〜歌と魔法が起こす奇跡〜
無印編
第55話:本当の歌
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ここまでやられたら、あたしも引き下がれないじゃないか!!──
一時は歌を嫌い、最近までは贖罪の為に歌っていたが今は違う。とにかく歌いたい。何も考えずとも、歌が心の奥から勝手に湧いてくるようだった。
その様子を透は演奏しつつ、眩しそうに見ていた。これが本当に彼が聞きたかったクリスの歌、彼女が望み彼女が愛する、彼女だけの歌だ。
今変身していて良かったと透は安堵した。でなければ、仮面の奥で流れる涙に余計な気を遣わせてしまいかねない。
透が仮面の奥で静かに涙を流している事など知る由も無く、高まるフォニックゲインが透の演奏により更に増幅されエネルギーが赤いオーラの様にクリスを包んだ。
「「「託した!!」」」
──託されて、やらぁ!!──
十分に高まり臨界に達したフォニックゲインにより変形したクリスのギアを見て、機は熟したと判断し射線を開ける様に退避する3人。それを合図にし、ギアが変形して出来た両手のガトリング、腰の多弾頭ミサイル、そして両肩の4基の大型ミサイルが一斉に発射される。当然衝撃波凄まじいが、その衝撃を同じくギアが変形して形成された衝撃吸収用アンカーが受け止める。
[MEGA DETH QUARTET]
放たれた全ての火器がノイズに襲い掛かる。ガトリングがフライトノイズを撃ち落とし集団に穴を穿ち、そこに飛び込んだ多弾頭ミサイルが周辺のフライトノイズを悉く吹き飛ばす。それによって雑魚による盾を失い無防備となった大型ノイズに、本命の大型ミサイルが突き刺さる。
その威力は凄まじく、空を飛び小型のノイズをバラ蒔くしか能の無かった大型ノイズを文字通り一掃してしまった。
直前の一斉射撃で騒がしかったスカイタワー周辺が、今度は一気に静かになった。ノイズの姿は跡形もなくなり、動く者は装者4人と透だけとなっていた。
「やった……のか?」
「ったりめぇだ! このあたしが仕損じるかっての」
空中のノイズはクリスにより一掃され、地上のノイズは奏達の活躍で殲滅された。見渡してもノイズの姿は影も形も見当たらなかった。
一息つきシンフォギアを解除する装者達。しかし透だけは未だに変身したままだった。
「どうした、透?」
変身を解かない透にクリスが不思議そうに訊ねると、彼は突然クリスの事を抱きしめた。漸く本当の歌を聴けた事への、歓喜と感謝の印である。
「ふぇっ!? ちょ、おい!?」
「お〜お〜、いきなりお熱いねぇお2人さん」
「いや、これは!? あの、透? 今は、えっと、その……」
恥ずかしい事は恥ずかしいのだが、透の気持ちが分かってしまう為に無碍に扱う事も無理矢理振り払う事も出来ずしどろもどろになるクリス。
そんなクリスを、奏は格好の玩具を見つけたと言わんばかりに
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