暁 〜小説投稿サイト〜
魔法絶唱シンフォギア・ウィザード 〜歌と魔法が起こす奇跡〜
無印編
第55話:本当の歌
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 先日の一件で隠れ家を別の場所に移したアルドは、用意した作業用の個室で新たな指輪の製作に勤しんでいた。魔法石を研磨し、刷毛で払い、布で磨いて形を整え一つの指輪を完成させた。フレイムスタイルのウィザードリングに非常によく似た形の指輪だ。

 完成した指輪を満足そうに眺めたアルドは、一息つくと傍らに置いてある水晶玉に目を向けた。ウィズの使い魔と視界を共有する水晶玉だ。
 先程から指輪作りの傍ら、ちょくちょく目を向けて異変が無いか警戒していたのだ。

「どうだ?」

 徐にウィズが部屋に入ってきた。彼が入ってくるとアルドは水晶玉から視線を外し、完成したウィザードリングを手渡した。渡された指輪を、ウィズは色々な角度から眺める。

「……どうですか?」

 じっくり時間を掛けて指輪の出来を確かめるウィズ。アルドとしては満足のいく出来だったが、彼の目には何か気になるところでもあったのかとアルドは不安になる。

「あぁ、問題ない。流石だなアルド」

 アルドの不安を感じ取り、ウィズは指輪を懐に仕舞いながら彼女の働きを称賛した。

「これがあれば、颯人は更に強くなれる…………あいつの魔力が熟成されていれば、だがな」
「ワインか何かみたいな表現ですね」
「分かり易いだろう。それで、他に何か問題は無いか?」

 ここ最近、ジェネシスが妙に静かだ。先日ツヴァイウィングのコンサートの際に颯人と響の援護に向かおうとしていた透とクリスを数名のメイジが襲撃した事は彼も知っているが、その時に出たのは琥珀メイジだけだったらしい。

 奴らは戦力の消耗を抑えている。これまで連中と戦い続けてきたウィズはそれが、何か大きな行動を起こす前兆である事が容易に想像できた。
 近い内にきっと大きな戦いが起こる。その確信を持って警戒を厳にし、使い魔による偵察も頻繁に行ってきた。

「今の所、大きな出来事は────」

 再び水晶玉を覗き、使い魔が特に何の異常も見ていない事を確認するアルドだったが、それは次の瞬間覆された。

 突然使い魔が遠目に無数の巨大なノイズが空を飛んで行くのを見たのである。

「ッ!? ノイズです! それも今までに見た事の無い巨大な奴が!」

 報告を受けてウィズも横から水晶玉を覗き込んだ。見れば大型の飛行型ノイズが街の上空を移動しているのが見える。
 大型ノイズの向かう先から、ウィズは連中の行き先を予想した。

「このノイズ共は…………このままだとスカイタワーに向かいそうだな」
「何故そんな所へ…………待ってください。ウィズ、使い魔をもう少しノイズに近付けることは出来ませんか?」

 アルドの言葉にウィズは今ノイズを見ているホワイトガルーダを大型ノイズ達に接近させた。近付くにつれて改めてこのノイズの大きさ
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