第百九話 白から水色へその十一
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「おそらくな」
「それでは」
「そうなればすぐにじゃ」
成実にあらためて話した。
「前から話しておるが鉄砲鍛冶をな」
「この米沢に迎え入れて」
「そしてじゃ」
そのうえでというのだ。
「鉄砲を大いに造りな」
「我等の武器としますか」
「奥羽では鉄砲はまだ殆どない」
「そこに鉄砲があれば」
「大きな力になる」
だからだというのだ。
「そこに騎馬隊も使えばな」
「尚更ですな」
「他の家を圧倒出来る」
だからだというのだ。
「鉄砲はな」
「若様の考えておられる覇業にですな」
「どうしてもじゃ」
まさにというのだ。
「必要だからな」
「それで、ですか」
「何としてもじゃ」
「鉄砲鍛冶をですな」
「連れて来てな」
そしてというのだ。
「造らせる」
「さすれば」
「その様にする」
こう言ってだった。
政宗は妻を迎えるその前から早速政のことを考えていた、そうして田村家から来た愛姫雪の様に白い肌と黒く大きな楚々とした目奇麗な黒髪にあどけない顔立ちの彼女を見て一目見て心を奪われた。それでだった。
婚礼の式の後で彼は妻となった彼女に言った。
「わしはそなたと共にじゃ」
「過ごして頂けますか」
「どちらかが世を去るまでな」
こう言うのだった。
「そうしたい」
「そう言って頂けます」
「うむ」
確かな声での返事だった。
「何かあろうともな」
「そうですか」
「これからわしは大いに動き」
そしてというのだ。
「天下に覇を唱えるが」
「天下にですか」
「そなたはそのわしの傍にいてじゃ」
そうしてというのだ。
「わしのことを見てくれるか」
「殿がそう言われるなら」
愛姫は政宗に微笑んで答えた。
「妾は」
「うむ、ではな」
「これよりですね」
「共に過ごしていこうぞ」
「それでは」
「あとじゃ」
政宗はさらに言った。
「わしは美味いものが好きでのう」
「そうなのですか」
「色々と食う」
このことも言うのだった。
「そのこともな」
「はい、覚えておくことですね」
「そのこともな」
愛姫にこうも話した。
「覚えておいてくれ」
「食ですか」
「何かと考えてもおる」
そちらのこともというのだ。
「そしてわし自身も厨房にな」
「入られますか」
「包丁を使うこともな」
これもというのだ。
「好きでな」
「そうなのですか」
「だからな」
それでというのだ。
「お主にも振舞いたい」
「お料理を」
「その時は食ってくれるか」
「喜んで」
愛姫はにこりと笑って応えた。
「その時は」
「それではな」
「はい、楽しみにしています」
「それではな」
妻となった愛姫とそうした話もした、その
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