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戦国異伝供書
第百九話 白から水色へその九

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「到底じゃ」
「それがしは天下人にはなれぬのですな」
「左様、織田殿にどうして勝つか」
「そのことも考えねばなりませぬな」
「織田家は既に五万の兵を動かせるという」
「五万ですか」
 梵天丸はその数を聞いて左目を動かした。
「それはまた」
「多いであるな」
「想像出来ぬまでに」
「それが織田家じゃ」
 こう梵天丸に話した。
「あの家じゃ」
「そしてこれからもですか」
「織田家は大きくなる」
「そうですか」
「だからな」
 それでというのだ。
「お主もよく考えるのじゃ」
「織田家に如何にして書くか」
「左様、考えておくのじゃ」
「わかり申した」
「そして織田家と戦う前にな」
 輝宗はさらに話した。
「多くの兵を揃えることもな」
「せねばなりませぬな」
「東国の全ての兵を集めれば十万は優にある」
 奥羽そして関東の全ての兵を集めると、というのだ。輝宗は梵天丸に対してそのこともしかと話した。
「その兵でな」
「織田家と戦うのですな」
「そうせよ、天下を望みならな」
「ではまずはですな」
「奥羽を一つにすることじゃ」
「その様にしていきまする」
「まさかわしの子がここまで大きなことを考えるとはな」
 輝宗は今度は笑って話した。
「まさに鳶が鷹を産むじゃ」
「それがしが鷹ですか」
「そうじゃ、いやお主は独眼龍じゃな」
「左様であります」
 そこは父にも訂正してもらった、笑って述べた。
「それがしは」
「では精々蛟がな」
「龍を産んだと」
「そうなるな」
「そう言って頂けますか」
「既に龍はおるが」
「上杉殿ですな」
 その龍は梵天丸も知っていた、それですぐに父にも返した。
「あの」
「うむ、あの御仁も恐ろしいまでに強い」
「戦では負け知らずとか」
「兎角恐ろしいまでに強い」
「毘沙門天の化身だとか」
「その御仁がおる」
「ですな、だからそれがしは」
 梵天丸は自分から言った。
「独眼龍ですな」
「そうなるな」
「ではその独眼龍として」
「天下人になるか」
「そうします」
「では元服してからな」
「その覇への歩みをですな」
 父に不敵な笑みで話した。
「ご覧になって頂けますな」
「そうしようぞ」
 輝宗は笑って話した、そしてだった。
 梵天丸は元服し藤次郎という名を授かり諱は政宗となった、政宗はその諱について片倉とこれまた元服した時宗丸名は藤五郎諱を成実となった二人に話した。
「まさかな」
「諱ですか」
「それのことですか」
「九代様の諱である」
 伊達家の九代当主のそれだというのだ。
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