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戦国異伝供書
第百九話 白から水色へその七

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「見ての通りな」
「左様ですな」
「もう敵ならな」
 それならというのだ。
「もう盟約もじゃ」
「気にせずに」
「攻めていくか」
「そうされますか」
「まだるっこしいことはせぬ」
 梵天丸は強い声で言った。
「そうしたことは好きではない」
「それで、ですか」
「どの家も降してな」
「奥羽を一つにされますか」
「まずはな」
「しかしそれは」
「他の家の反発を買うな」
 梵天丸もそれはわかっていた。
「左様であるな」
「間違いなく」
「そして寄ってたかってな」
「攻められますが」
「わかっておる、相手がそうしてくるならな」
 それならというのだ。
「力でじゃ」
「当家としてはですな」
「それに勝る強さを以てじゃ」
「降していきますか」
「そうする、我等は既に優れた騎馬隊をもっておる」
 梵天丸は軍勢の話もした。
「兵の数も周りに勝っておる」
「その武で、ですか」
「もう一つ備える」
「もう一つとは」
「鉄砲じゃ」
 その左目を光らせてだった、梵天丸は片倉そして時宗丸に話した。
「それもじゃ」
「鉄砲ですか」
「近頃薩摩や上方で使われている」
「それもですか」
「備えられますか」
「うむ、鉄砲鍛冶を攫ってでもな」
 何となればというのだ。
「こちらに連れて来てじゃ」
「そうしてですか」
「鉄砲を造らせますか」
「この奥羽では鉄砲はまだほぼ伝わっておらぬが」
 それでもというのだ。
「我等は持ってな」
「その鉄砲も使い」
「そうしてですか」
「戦う、当然その前に武を見せて降った者はよし」
「ですな、降ればです」
「それでよしです」
 二人もそれはよしと頷いた、武を見せることでことが済めばそれに越したことはないというのである。
「ではですな」
「強い武を持ち」
「それを見せて降る者はよし」
「そして降らない者を戦で倒す」
「そうしていくのですな」
「戦になれば思う存分戦う」
 その様にするというのだ。
「よいな」
「そして勝つ」
「そうしますな」
「必ずな、では今は学問と武芸に励もうぞ」
 こう言って彼は今は学問と武芸に励んでいった、そこでは常に片倉と時宗丸そして弟も共にいた。そして。
 輝宗はその我が子に笑って話した。
「日々学問と武芸に励んでおるか」
「小十郎そして時宗丸と共に」
 梵天丸は微笑んで答えた。
「そうしています」
「ならな」
「それならですか」
「そなたも十三歳になる」
「だからですか」
「元服としよう、そしてな」
 輝宗はさらに言った、面長で落ち着いた顔立ちの者だ。
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