第44話 =あいさつ=
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と栗色のストレートへヤーを風になびかせている知り合いであるアスナが立っていた。その後ろには全身黒い服装の同じく知り合いのキリトが立っている。
いつもなら驚かないし、ちょっと前、俺が逃げてしまった時にどうやらサチたちがこの家を教えたらしいので訪ねてくるのもわからなくもない。
ただ…服装がそれぞれいつもの白い制服と黒コートではなくセーターとロングTシャツなのだ。
そして今さっき「引越し」という単語か…確かここから少し離れた場所に誰も住んでいないログハウスが1つあったけど。
「まさかあそこに!?」
「あぁ、あそこに家を買ったんだ」
と、キリトは俺の記憶どおりの場所にあるログハウスに指を向けた。
「…狙ったのか?」
「何がだよ」
だってこの家に俺たちが住んでいることを知っててあそこの家を買ったんだろ、と俺が言うとどうやら前からあそこを買うこと
は決めていたらしいのだが残念、お金が足りない、工面しなくては…などということになり時間がかかってやっと昨日あそこを
買ったらしい。
「なるほどな〜」
で、知り合いの引越し挨拶ってなにしゃべればいいんだ?
「…まぁ家入ってくれよ。サチたちにも知らせなきゃなんないから」
「お、おう…お邪魔します」
「お邪魔します」
なぜか緊張しているキリトに笑いそうになったが恐らく皆がいるであろうリビングに通す。するとさっきまで置かれていたタル
トは綺麗に片付けられており、真っ白な皿だけがテーブルの上にあるだけだった。
「ちょっと!俺まだ食ってなかったのにさ!」
「ご、ごめんって…あんまり美味しかったから」
「…ならいいけどさ」
人間、ほめられればどんなときでも喜んじゃうから納得してしまうのは仕方ないと思うんだ。リズに上手く丸め込まれたがアレ
くらいなら材料さえあれば簡単に作れるのでよしとしよう。
「あれ、アスナにキリト…どうしたの?」
「やっほ、サチ、それに皆も」
「引越しの挨拶に来たんだ」
「へぇ〜…じゃあお隣さんですね」
「隣っていうほどの距離じゃないけどな」
確かにキリトの言うとおりここから1、2分は歩かなきゃいけない距離だからな…と会話に耳を傾けながらいろいろな食材の入っている引き出しをさきほどのタルトの材料を探す。俺がスイーツを作るのは皆のためよりか自分のためにって気持ちのほうが大きいからもう1度作ってでも食べたいんだよ。
すぐにまぁ小さめの苺のタルトが完成…さて、ここで食べるべきか向こうに持って行って食べるべきか…ぼっちが嫌だから向こうに持ってくことにした。
「……なんだよ」
「最近、辛いものしか作ってないから…」
あはは、と苦笑いのように笑うアスナ。…そうか、キリトが
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