第7話 理性と本能
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以前賊から奪った長剣を抜き放ち、エヴァが賊の前に出る。
「ま、まっ・・・」
そうして目の前に立った瞬間、命乞いをしようとした賊の首を斬りおとした。
体に馴染ませた動作で、斬りおとした直後に間合いを広げ、次に備える。
首が落ち、血が噴き出して数秒、体も崩れおちる。
そこでようやくエヴァも血を払い、剣を納める。
私はそんなエヴァを後ろから抱きしめ、囁く。
「慣れてはダメ。忘れてもダメ。・・・でも抱え込んでもダメ。わかる?」
「・・・(コクッ)」
体を震わせながら、それでも声を漏らさず頷く義妹を、私は抱きしめることしかできなかった。
エヴァの手が、私の腕を握りしめる。
これでいい。
私はエヴァと共に歩む。ならば彼女の決断や覚悟も受け入れる。
この所、私が殺しをするたびに深く考え込んでいるのは知っていた。
私個人としては、もうしばらく子供でいてもいいのでは、と思っていた。
しかしそれが義姉としての傲慢や押しつけならば、そしてエヴァ自身が選ぶのならば、それに否はない。
必要なのはこうして、共に支え合い歩んでいく事。
だから今はこうしてそっと泣かせ、見て見ぬふりをしてやればいい。
そう思いながら、抱きしめ続けた。
「義姉様、私を抱いてください」
そう告げられた私の目の前には、いつものおそろいの格好ではなく、初めて会った時着ていたのに似た、黒のワンピースドレスに身を包んだエヴァが居た。所々あしらわれたフリルや飾りがより可愛らしさを引き立たせる。
今日はエヴァの14歳の誕生日。
立ち寄った街の宿屋に泊り、そこの料理に加え持ちこんだ食材でいつもより豪華な夕食を楽しんだ。
珍しくワインも開けて、2人で飲みながら楽しく話していた。
ワインを数本あけて、夜も深まり、そろそろお開きかと会話が途切れた合間を縫ってエヴァが言い放ったのだ。
その時の私の感情は、間違いなく歓喜だった。
禁忌の関係?危ない性癖?だからどうしたというの。
貞操観念や倫理その他諸々が厳しかった前世ですら、色欲に関して本能に忠実に生きていた私が今更足踏みをする訳が無い。
まして、まったく予想して無かった訳でもない。
話は半年ほど遡る。
エヴァの13歳の誕生日。初めての殺し。それから半年。
その日、少し疲れたとエヴァは先に宿に向かった。
私は町を回ってから宿に向かう。
薄々気づいていた私は、宿に向かう瞬間から気や魔力と言った気配を消して向かった。
宿に入ると聴覚を強化し、足音を消しながら部屋に向かう。
幸い今日の客は私達だけ。廊下に居ても不振に思われることはな
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