第7話 理性と本能
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「・・・知らない天井・・・はお約束かしら」
ふと、目が覚めた。
視線の先に広がるのは、旅の途中に訪れた宿屋の天井。
視線を少しずらせば、窓から差し込むのは月が放つ蒼き光。
月以外の全てが眠る、そんな深夜。
蒼き光と相まって、部屋を包むのは静寂・・・のはずだった。
「ふふっ・・・まだ残っているわね」
そんな静寂を打ち壊すのは、汗と女の、否、雌そのものの匂いが混ざり合った、淫靡な香り。
鼻から吸い込まれたその香りは、目覚めたばかりの脳髄を溶かし、先ほどまでの行為を思い出させ、体を火照させる。
その元凶の片割れに視線を向ける。
私の腕を枕にし、裸の身体を抱きつかせているのはエヴァンジェリン・マクダウェル。私の愛しき義妹。
美しき裸体は出会ったころよりも成長し、女らしさを醸しはじめてきた。
少女から女性へと成長する合間の、ある種アンバランス、インモラルな美しさ。
幾分大人びた表情も、今はすやすやと穏やかな寝顔。
先ほどまでその表情を、優しく、荒々しく、滅茶苦茶に翻弄する快感に歪め、汗と嬌声を撒き散らし崩していたのが嘘のよう。
思い出しただけで、体の奥が官能の火でじりじりと炙られるのを感じる。
今の私は笑っている。
瞳を、口元を淫蕩に歪ませ微笑むさまは、他者の夢を貪り精を吸い取る、淫欲を司る夢魔そのものかもしれない。
・・・エヴァと出会いもう5年になる。
たった5年で、色々な意味で大人にしてしまった自分に少々あきれる。
かといって、自らの本能を止められるとも思わないし、止めようとも思わない。
同姓の、年下の、年端もいかない、義理とはいえ義妹を、貪る自分。
・・・レズ・ロリ・シスコン・近親相姦。
・・・・・・・・・・もう魔王ね。
そんな事を考えながら、手はいつの間にかエヴァの頬を撫で、思考は時を遡る。
「義姉様、待って」
エヴァと出会って3年、今私は森の中で、女2人に欲望を刺激された下衆な賊と言う名のゴミを『お掃除』しているところだ。
ついこの間エヴァの13歳の誕生日を迎えた私達は上機嫌で旅を続けていた。
そんなときに無粋な客の来訪で、少々手際が乱暴だったかもしれない。
最後の1人(脚を斬られて逃げられない)を片付けようとした私を、義妹が止める。
どうしたのかと振り返れば、その深紅の瞳が真っ直ぐに私を射ぬく。
それだけで、私は理解した。・・・・・・理解してしまった。
「・・・決めたの?」
「うん」
「後悔は?」
「ないよ」
「そう・・・」
短い言葉を交わすと、私は血を払った正宗を短刀に戻し脇によける。
同時に、
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