第三章
[8]前話
「本当に」
「あの、この子はどうして」
「どうもです」
佐古下はここで考えた、そうして優香に話した。
「薬が効きにくい」
「そうした体質ですか」
「それもかなりです」
「だから生きていますか」
「そうだと思います」
「そうなんですね」
「ですがかなり強い薬です」
佐古下はまだ驚いている、そのうえでの顔だ。
「効かない筈がないです」
「本当に薬が効きにくいんですね」
「そうした子なんですね、もうです」
佐古下はここで強い声になって優香に話した。
「折角助かったんですから」
「だからですね」
「この子には薬は打ちません」
安楽死の処置は取らないというのだ。
「どうかです」
「このままですね」
「生を全うさせて下さい」
「このこと代表さん達にお話させてもらいます」
「そうして下さい」
佐古下は強い声で言った、そしてだった。
ルッツは殺処分のない団体に移されてそこで彼の話を聞いた家族に引き取られた、そうして幸せに過ごすことになった。
佐古下はルッツのその話を聞いて知人に話した。
「折角助かった命なんだ」
「それならですね」
「ああ、幸せにならないとな」
「駄目ですよね」
「そう思うよ」
こう言うのだった。
「本当にな」
「その通りですね」
「というか保護した時点で」
そもそもというのだ。
「助かっているんだから」
「それならですね」
「保健所の殺処分も言われているし」
「保護団体なら余計にですね」
「幸せになってもらわないと」
そうなってもらわないと、というのだ。
「そしてね」
「それで、ですね」
「殺処分なんてね」
「収容の上限が来たので」
「それはね」
本当にというのだ。
「何とかして欲しいよ」
「殺処分のことは」
「あと引き取りの条件をね」
これをというのだ。
「何とかしないとね」
「もっと緩やかにですね」
「しないとね」
そうしないと、というのだ。
「駄目だよ」
「さもないと同じことが続きますね」
「そうなるよ、本当にね」
「だからですね」
「この件についてこれからは色々言って動いていくよ」
獣医としてそうしていくとだ、佐古下は言った。そうして実際に主張し動き多くの命を救う為に貢献していった。
生きていた犬 完
2020・10・23
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