第二章
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「そうだったね」
「それでやっぱりね」
「弱かったんだ」
「ずっと言われたら黙って殴られたら逃げてね」
そしてというのだ。
「よく泣いて特にね」
「髪の毛引っ張られるとなんだ」
「今みたいに泣くんだ」
「そうだったんだね」
「弱いのにいじめっ子だったんだ」
「というか本当は弱いからじゃないかな」
その彼矢吹雄太は長秀にさらに話した。
「だからね」
「いじめるんだ」
「お父さん言ってたよ、いじめる子は弱いからね」
本当はそうだからだというのだ。
「自分より弱いと見た相手をいじめて自分を強いと思うんだ」
「そうなんだ」
「それで加奈ちゃんはね」
「実は弱かったからだね」
「吉田君いじめてたんだよ」
「それでも僕が髪の毛掴んだら」
「それだけでね」
今も泣いている彼女を見て言う、いじめっ子だった彼女はわんわんと泣いてクラスの皆が驚きの顔で見ている。
「泣いたんだよ」
「強い、怖いと思っていたらこんなに弱かったんだ」
「そういうことだね」
雄太は長秀に話した、そしてだった。
二人はこの時から友達になった、長秀は家で母にこのことを話した。すると母は息子に注意する顔で言った。
「いじめられて嫌だったでしょ」
「毎日ね」
「じゃああんたはね」
「いじめをしたら駄目だよね」
「絶対にね、自分がやられて嫌だったら」
それならというのだ。
「自分もね」
「したら駄目だね」
「そうよ」
絶対にというのだ。
「そうしたら駄目よ」
「うん、それじゃあね」
「それとね」
「それと?」
「ベルもいじめたら駄目よ」
今長秀がブラッシングをしている彼のことも言うのだった。
「いいわね」
「ベルもなんだ」
「ベルはいつもあんたと一緒にいるでしょ」
「こうしてね」
「あんたにとって大切な家族でしょ」
「友達でね」
「家族で友達ならね」
それならというのだ。
「誰よりもね」
「いじめたら駄目なんだね」
「大事にしてあげなさいね」
「うん、僕そんなことしないよ」
「絶対によ」
母は息子に言った、そして息子は実際にベルも他の誰もいじめることはしなかった。だがそのいじめっ子はというと。
長秀に髪の毛を引っ張られて泣き出してから今度は自分がクラスでいじめられる様になった、いつも何か言われて無言で俯いてばかりになった。
そして男子に髪の毛を掴まれるといつも泣き出した、女子からも嫌なことばかり言われて自分の席で泣き伏してばかりになった。
雄太はそんな状況を見て長秀に言った。
「これじゃあ一緒だよね」
「そうだよね、僕がいじめられていた時とね」
「あの時よりずっと酷いと思わない?」
「うん」
長秀は雄太に答えた。
「そうだよね」
「だからね」
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