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王道を走れば:幻想にて
第四章、その3の1:誰の油断か
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る。

「・・・リコさん・・・リコさん・・・」
「失礼致します」

 リタは静かに彼女の下に近寄り、そっと跪く。

「具合はどうですか?どこかお辛い所はありますか?」
「・・・」
「私はリタと申します。侍女で御座います。宜しければ、貴方の御名前を御伺いしても宜しいでしょうか?」
「・・・リコさん・・・リコさん・・・」
「・・・つかぬ事をお伺いしますが、貴方が申されているリコという方は、金髪で、頬の辺りに黒子がついている方ではなかったでしょうか?」
「・・・・・・知ってるの?」

 擦れた声で女性は反応する。とても安らかな声色でリタは言う。

「弟ですよ。私はリタです。リコの姉です」
「・・・・・・・・・」
「無理矢理お伺いするようで申し訳ありません。ですがどうにか貴方に、御協力願いたいのです。貴方が弟の行方について存じている、最後の一人なのですから。
 私は弟以外に家族を持っておりません。父母も居らず、親族もいません。この上に弟を失ってしまっては、とても敵わないのです。どうか、あの子の事について教えて下さい。私は、彼を助けてやりたい、姉としての努めを果たしたい。それだけの願いなのです。その願いの成就には、貴方の助けが必要なんです。・・・どうか、彼の事をお聞かせ願いたいのですた、宜しいでしょうか?」
「・・・・・・三ヶ月くらい前、この村に、リコさんは来た」

 女性は腫れた目元を俄かに開き、枯葉のような黒い眼差しをリタに向けた。

「私、あの人の地図作りに手伝って、いたんだけど・・・盗賊が来て・・・連れてかれた」
「リコや、村の方々が、ですね。・・・どこへ向かったか覚えていますか?」
「・・・私、隠れていたから、見ていなかった」

 慧卓は残念がるように唇を噛み締めかけるが、きっと睨んできたリコに臆してすぐさまそれを改める。女性はリタだけを見詰めて言う。

「でもあいつ等が言っていた。あの二人組。西の森に、住み始めたって」
「それは、その二人組の仲間でしょうか?」
「・・・うん」
「・・・ケイタクさん、もしや先程擦れ違ったあの森の事では?」
「俺もそうだと思います。・・・多分、人目につかない奥地の方かと」

 女性は喋りつかれたのだろうか、何度か唇を噛み直して潤いを取り戻し、息を整えつつ言う。

「あいつ等を殺して。皆殺されて、生き残った人も連れてかれた。私も乱暴されて・・・」
「もう、大丈夫ですよ。・・・無理に御心を苦しめるような真似をして、申し訳ありませんでした。償いといえば一方的かもしれませんが、私共が必ず、リコや、村の人達を救って参ります。だから今は、どうぞお休み下さい。・・・御協力、有難う御座います」
「・・・良かった。また、人助けが出来た」

 彼女だけの擦れた小さ
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