最終話 ただの勇者
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知れ渡り、数日が過ぎた頃。
「あんたらは町の、俺達の恩人だ! じゃんじゃん飲め、飲んでくれー!」
「ガッハハハハ、もっと酒持ってこーいっ!」
かつて乱暴者の集まりと恐れられていた冒険者ギルドの戦士達は、町に帰ってきた町民達に英雄として迎えられ、毎日のように宴に招かれていた。
この戦いで重傷を負ったメテノール・ベルグ・ナナシの三巨頭も、回復術師の末裔であるルナーニャの治療を受け、徐々に快復に向かいつつある。彼女のポーチに納められていた医薬品のほとんどは、彼らのために使い切ってしまったらしい。
夜空に浮かぶ満月と篝火に照らされた町の酒場で、肩を組み酒を酌み交わす。そんなひと時を謳歌する冒険者達と町民達は、かつての壁を乗り越え笑い合っていた。
「……楽しんでくれているようで、何よりだ」
「えぇ……全く」
その喧騒を背に、自警団の慰霊碑に祈りを捧げていたガウリカと爺やは、この町のために戦った冒険者達に想いを馳せている。犠牲となった人々の無念を晴らした戦士達に対する、言葉にならないほどの感謝を胸に。
「……私は、彼らのことを何も知らなかった。いや、知ろうともしていなかった。本当はあんなにも、優しい人ばかりだったというのにな」
「ならば、これから少しずつ、彼らを知っていきましょう。退職金もはたいてしまったことですし、当分は私も引退などしておられませんからな」
「ふふっ……世話を掛けるな、爺や」
「今更、でございましょう」
自警団のメンバー全員の名を刻んだ慰霊碑に、花を添えて。静かに立ち上がったガウリカは、その隣に立てられた小さな墓標に視線を移す。
粉々に打ち砕かれた、ランペイザーの剣。その一欠片を供えられている墓標には、エクスという名が刻まれていた。
「……何者だったのでしょうな、彼は。あのランペイザーを倒してしまうほどの実力といい、冒険者達を動かすほどの人望といい……」
「……」
この墓標を立てた後、爺やから貰った報酬全てを冒険者達に明け渡したダタッツは、長居は無用とばかりに旅立ってしまった。別れの挨拶すら、満足に出来ぬまま。
その背中を想い、豊かな胸元に手を添え、切なげな表情を浮かべるガウリカ。そんな彼女の胸中を看破し、ため息をつく爺やは、ある「懸念」を口にする。
「あの少年が使っていた、帝国式投剣術。あれは……かつて、帝国勇者が使っていた……」
「知ったことか」
だが、先程まで表情に憂いの色を滲ませていた乙女は。気丈に顔を上げ、強気な眼差しで爺やを射抜き、そう宣言する。
僅かに染まった頬の色が、想いの強さを物語っているようだった。
「誰がなんと言おうが、彼がどんな技を使っていようが、知ったことか。……彼はこの町と、私達を救ってくれたただの『
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