第9話 業火の勇者と羅刹の鎧
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新たな「器」を探さねばならない。そう思い立ったランペイザーが、意識を失ったメテノールに手を伸ばそうとした……その時。
「……!」
突如、この戦場に猛風が吹き荒れ。炎を根刮ぎ消し去るほどの力を以て、屋敷もろとも全てを葬ってしまう。
瓦礫だらけの黒ずんだ跡地だけが残された、その地中から――死に損ないの元勇者が這い出てきたのは、それから間もなくのことだった。
「……やはり、急所は外していやがったか。嬉しいぜ、わざわざ俺の依代になりに来てくれるなんてよ」
「生憎だが……この身体は渡せない。勇者としての役割を帯びたこの力と、ジブンでなければ……できないことがある」
蛇咬太刀によって貫かれた傷を、焼くことで塞ぎ。火に包まれた服の上着を破り捨てたダタッツは、上半身の肌と傷痕を晒したまま、立ち上がってきたのである。
ランペイザーの一撃による失血と炎の熱により、その表情は憔悴しきっているようだが。眼の奥に宿る闘志だけは、まるで衰えていない。
業火を払い、蘇ってきた子孫の姿に悦びを覚え、ランペイザーも再び口元を歪に吊り上げていた。今度こそ、その力を手に入れてやる。そう、言わんばかりに。
「……上等だ、次の一撃で終わりにしようじゃねぇか。この身体も、そろそろ限界だからな」
「そうか……なら、ジブンが終わらせるしかないようだな」
再び双方の殺気が激突し、両者はこの戦いに決着を付けるべく、各々の得物を握り締める。手の内はすでに、知れていた。
魔剣・蛇咬太刀。
帝国式投剣術奥義・螺剣風。
すでに一度食らったダタッツには、鎧を通じて子孫の戦いを見てきたランペイザーには、分かり切っている技なのだ。
条件が同じならば、最後にモノをいうのは速さと破壊力のみ。崩壊が始まっている今のランペイザーに螺剣風が決まれば、ダタッツの勝利は固い。
だがダタッツ自身もすでに、火災から脱出するために螺剣風を一度使用している。腕への負担が激しいこの技を続けて使う以上、威力の低下は避けられない。
万一仕留め切れなければ、今度こそ蛇咬太刀の餌食となってしまうだろう。そうなれば如何に勇者の身体といえど、ただでは済まない。
「……せめて、その骸をあるがままに葬りたかった。それがジブンの、甘さだった」
「やっと分かってくれたかい。……そうさ。戦いに脆い情を持ち込むから、悪戯に苦しむんだよッ!」
それでも、ダタッツの眼には恐れなどない。あるのは、エクスの遺体を極力傷付けずにランペイザーを倒そうとしていた、己の甘さへの悔いのみ。
そんな子孫の変化を敏感に感じ取った竜源の魂は、先祖としての悦びに打ち震えながら――蛇咬太刀を放つべく、猛進する。
「ならば今は、その
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