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ダタッツ剣風 〜業火の勇者と羅刹の鎧〜
第9話 業火の勇者と羅刹の鎧
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鮮血が噴き上がっていた。

「ぐぉあぁッ!」
「俺を突き殺したきゃあ、これぐらいやってみやがれッ!」

 そして、追撃の「魔剣・蛇咬太刀」が唸りを上げてベルグの鎧を貫き、串刺しにされた彼の身体を持ち上げてしまう。ダタッツと同様に空高く舞い上げられたその身体は、轟音と共に建物の屋上へと墜落した。
 重装備だったばかりに、落下に伴うダメージも深刻であり――彼が墜落した建物は、土埃を巻き上げながら崩落してしまう。

「ランペイザァァッ!」
「……ッ!」

 それでも、冒険者達が敗北を認めることはない。三巨頭最後の一人・メテノールの投槍「斂理」が、閃光の如き疾さでランペイザー目掛けて撃ち放たれた。
 完全に虚を突かれたランペイザーは反応が遅れ、回避が間に合わず肩を貫かれてしまう。その痛みと流血に片膝を着いた彼は――嗤っていた。

「……いいねぇ、その殺気。戦ってのは、こうでなくちゃいけねぇ。今の技、飛剣風を超えてたぜ」
「それでもくたばらねぇとは、ムカつく野郎だ……!」
「そいつは光栄だな。憎まれて喜ぶくらいじゃなきゃあ……殺し合いなんざやってられねぇッ!」

 斂理を肩から引き抜き、鮮血を滴らせながら口元を吊り上げるランペイザーは――投擲剣を矢継ぎ早に投げ付けるメテノールの猛攻を、全て弾き落としてしまう。
 棒術の要領で斂理を振るい、メテノールの技を完封した彼は、「仕上げ」として。意趣返しとばかりに投げ返した斂理の刃先で、彼を貫いてしまうのだった。

「があぁあッ……!」
「……楽しかったぜぇ」

 自らの得物で胸を射抜かれたメテノールの身体は、ベルグを生き埋めにしている瓦礫に打ち付けられてしまった。
 三巨頭を打倒したランペイザーの強さを、象徴するかの如く。

「そうさ……ハッハハハァッ! やはり最後に立つのは、この俺ただ一人! 勇者も死者も関係ねぇ、この俺だけが絶対だ! 全てだァッ!」

 やがて響き渡るのは、死者の高笑い。生者を叩き伏せ悦に浸る彼の者は、剣を肩に乗せ己の勝利を称えるかの如く、狂気の笑みを浮かべていた。

 砂漠という過酷な環境に屈することなく、強く逞しく生き抜いてきた冒険者達。彼らの猛攻を以てしても、なお崩れぬランペイザーの牙城は、絶えずその強靭さを誇示し続けている。

「……ハッハハハ、ハァ、ガッ……!」

 だが、それは永遠ではなかった。徐々に笑みから余裕の色が失われ、その貌に滲む焦燥が顕れてくる。
 息を荒げている彼の全身は、まるで焦げた肉のように綻び始めていた。度重なる激闘に少年兵(エクス)の身体が付いてこれず、自壊しつつあるのだ。

「ちッ……! また新しい身体を、探さねぇとな……!」

 ダタッツを炎に沈めてしまった以上、肉体が残っている者達の中から
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