第8話 魔剣・蛇咬太刀
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の切れ味では決定打には至らなかったのか。その刃は鎧の中に沈み込むだけに留まり、ランペイザーの胸を貫くことは叶わなかった。
「生憎だが、俺の鎧はその程度じゃあッ……!?」
「この程度で終わると思ったかッ!」
だが、それはあくまで繋ぎでしかない。ダタッツは躊躇うことなく地を蹴り、ランペイザー目掛けて大きく跳び上がる。
帝国勇者時代は一度も使わなかったその技は、鎧を通して「伊達竜正」を見てきた竜源にも分からない。そこから生まれる僅かな隙が、ダタッツの狙いだったのだ。
「帝国式対地投剣術――飛剣風『稲妻』ァッ!」
「……ッ!」
すでに突き刺さっている銅の剣を、さらに奥深くへと沈めるように。柄を押し込むかの如く打ち込まれた飛び蹴りが、追い討ちを掛けていく。
鎧によって阻止されていた切っ先は、その蹴りが生む衝撃によって一気に突き進み――ついにランペイザーの心臓を、貫いたのだった。
それは紛れもなく、この戦いに終焉を告げる必殺の一撃。そう、なるはずであった。
「大した技じゃねぇか。さすが、俺の子孫だぜ」
「……!」
だが。ダタッツの目に映ったのはランペイザーの死ではなく――薄ら笑いを浮かべて自分を見上げる、死者の眼だったのである。
その現象に目を剥くダタッツは、柄を蹴った足に伝わる感覚に意識を向け、全てを悟った。そして、改めて自分の相手が「死んだ人間」であるという事実に直面する。
飛剣風「稲妻」によって撃ち抜かれたランペイザーの心臓は、初めから動いてはいなかった。死者の鼓動を止めたところで、その災厄が終わることなどないのである。
不死身の魔物のような存在と戦った経験を持たないダタッツでは、思い至らないことであった。
「ぐッ!?」
「……安心しな。一瞬で楽にしてやるからよォッ!」
それは、事実上の抹殺宣言。飛び蹴りを放っていたダタッツの脚を掴むランペイザーは、すでに「必殺」の体勢に入っていた。
「稲妻」が通じなかったことに対する、一瞬の動揺が。この事態を、招いてしまったのである。
「がッ――!」
手首を捻りながら突き込まれる、鉄の剣。螺旋状にダタッツの肉を抉るその切っ先が、彼の身体を貫いた。
だが、それだけでは終わらない。突き刺した刀身をさらに捻り、内側から刻みながら――ダタッツの肩口に向かうように、一気に斬り上げる。
「魔剣――蛇咬太刀」
相手を確実に抹殺する。その一点にのみ特化した非情の剣技に、かつての帝国勇者は為す術もなく。
衝撃で木の盾を手放した瞬間、鮮血を撒き散らしながら空高く舞い上げ
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