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ダタッツ剣風 〜業火の勇者と羅刹の鎧〜
第8話 魔剣・蛇咬太刀
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る奴らが嫌いでしょうがなくてね」

 そんな彼らへの二人の対応が、火蓋を切り。言語にならない怒りを叫ぶ悪漢達が、四方八方から殺到する。
 そこから始まったのは、凄腕の冒険者達による「制裁」であった。

「ぐッ……が!?」
「……生憎だが、盗賊風情に触らせる肌など持ち合わせていなくてな」

 鍔による打撃で鼻先をへし折り、突き刺し、斬り裂く。バスタードソードという武器の全て(・・)を利用したマリの戦法は、数にものを言わせる悪漢達を全く寄せ付けない。

「ぐあぁあぁッ!?」
「ぎゃあぁあァッ!」
「……死ななきゃ分からねぇとは、悲しいもんだ」

 弧を描き、複数人を同時に斬り伏せるベルグのハルバードは、盗賊達の鮮血でこの地を赤く染め上げていく。鉄仮面の奥から物憂げにため息を漏らす彼は、淡々と刃を振るい、悪漢達の断末魔を響かせていた。

 それから僅か、三十秒。たったそれだけの時間で、二人を包囲していた盗賊達は全滅してしまう。
 得物を振り血を払うベルグとマリは、この激闘を制した直後でありながら――全く息を切らしていないようであった。彼らは涼しげな佇まいのまま、何事もなかったかのようにガガド達の戦いを見守っている。

「なんだマリ、今日のキレはイマイチだな。さっきは危うく押し倒されるところだったぜ?」
「……最近は、ガガド達の鍛錬に力を割いていたからな。本調子ではないのはお前も同じだろう、ベルグ」
「まぁな。……才能のある奴を見てると、つい自分の鍛錬より力が入っちまう。俺もまた、鍛え直さねぇと」

 そんな若者達の奮闘に、刺激を受けた二人も。やがて次の闘争を求めるように、その場から走り去るのだった――。

 ◇

 冒険者達の奮戦が長引くに連れて、ダタッツとランペイザーの剣戟も激しさを増していく。互いの命を刈り取らんと迫る刃が、絶えず唸りを上げていた。

「おぉおぉおッ!」
「はぁあぁあッ!」

 これを凌ぎ、次の一閃で決める。確実に殺す。両者ともその信念に従い、相手の命をつけ狙う。
 その死闘は互いの刃が零れ始めるほどまでに白熱し、双方の身体に幾つもの切創を残していた。頬や腕から滴る両者の鮮血が、激突のたびに散らされていく。

「そんなナマクラで大したもんじゃねぇか、竜正ッ!」
「これは……ただのナマクラじゃあないッ!」

 竜源の魂に支配されている少年兵(エクス)のように、何の力もない若者でありながら故郷のために命を懸けていた、真の勇者。その1人が戦場に遺した一振りを、ダタッツは目にも留まらぬ速さで投げ付ける。

 帝国式投剣術(ていこくしきとうけんじゅつ)飛剣風(ひけんぷう)。その鋭い切っ先の矢は、ランペイザーの読みを超える速さで勇者の鎧に突き刺さる。
 だが、銅の剣
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