第7話 先代勇者の真実
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になっているのは――あなた達の方です」
だが、そんな屈辱が生む強さなどたかが知れている。その程度の苦しみに由来する力では、両親の死という悲しみを知る少女の槍を、凌ぎ切ることなど叶わない。
10年前、盗賊団に両親を殺された日から。今日という機会を待ちわびていたマルチナは、長年の鍛錬で培ってきた二槍流の技を遺憾なく発揮し、盗賊達を矢継ぎ早に貫いていく。
木製のバックラーで盗賊達の攻撃を巧みに受け流す彼女は、その手に握り締めた短槍を突き出し、躊躇うことなく敵の命を刈り取り続けていた。
「分かりますか。これが……殺される側の、恐怖です」
「ひ、ひぃいぃッ……!」
苦痛を感じる暇すら与えないほどの、一瞬の死。それはある意味では、彼女なりの優しさなのかも知れない。
一切の躊躇なく、閃光の如き刺突で同胞達を抹殺していくマルチナの槍と、その鋭利な眼差しは――女に敗れることを嫌う盗賊達すらも、精神的にねじ伏せていた。
「……強くなったな、マルチナ」
「まだまだこれからですよ、レンダーさん。……父さんと母さんの分まで、この世界を生き抜く。これは、そのための力ですから」
そんな妹分の成長を見守ってきたレンダーは、マスクの下に微笑を隠し、残りの残党を斬り払っていく。彼女に続きながら短槍を振るうマルチナも、姉代わりの先輩冒険者に背を預け、強気な笑みを咲かせていた。
――そこからやや離れた、屋敷の裏手。炎に照らされたその戦地においても、冒険者達と盗賊達の攻防は続いている。
「ぎゃあぁあッ! た、助け、がッ!」
「あはははっ、この私が逃すわけないじゃん! ほらほらぁ、もっと抵抗しないと殺されるだけだよぉ?」
否、それは到底「攻防」と呼べるものではなく。盗賊以上に血に飢えた修羅の冒険者達による、「蹂躙」であった。
隙間を吹き抜ける風のように、緩急自在の動きで盗賊達を翻弄し。艶やかな茶髪とたわわに弾む巨乳で男共を惑わし、瞬く間に片手剣で斬り捨てる。
そんな冒険者の一人・リンカを組み伏せようとしていた悪漢達は、やがて力の差を悟ると次々に逃げ出していったのだが――殺しを楽しむ彼女からは、逃げられるはずもなく。
恐怖に歪んだ顔のまま、一人、また一人と命を刈り取られていくのだった。それは彼女の周りから盗賊達が消え去るまで続き、屋敷の裏手は血の色に染め上げられてしまう。
そこへ現れた一人の男は、呆れるように息を吐いていた。両眼を布で覆い隠しているのにも拘らず、彼は音だけで状況を理解しているのか――リンカの方に首を向けている。
「……暴れ過ぎだ、リンカ。我々の任務は町の防衛だということを忘れるな」
「分かってる分かってる、ちゃんと後で掃除するよぉ。……ナ
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