第6話 ランペイザーの正体
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の高い軽鎧《ビキニアーマー》を纏い、白い長髪を靡かせる彼女自身も、周囲の盗賊達を惹きつけていたのだが。「クレイモア」と呼ばれる大剣を軽々と振り回すその膂力の前では、欲望だけの悪漢など為す術もない。
2人の肢体を狙い、喉を鳴らしていた盗賊達の成れの果ては、彼女達の足元に累々と横たわっていた。
「背中の警戒が甘いぞ、ルナーニャ。ただでさえお前は何かと無防備なんだ、あまり世話を掛けさせるな」
「ブレアさんがいるからだよぉ。それに無防備って……そんなえっちなカッコしてる人にだけは言われたくないんですけどっ!」
当人達にとっては、見慣れた光景なのだろう。彼女達は軽口を叩き合いながら、自分達の色香に釣られた次の愚者を迎え撃とうとしている。
信頼に足る者同士として、お互いの背を預けながら――。
◇
冒険者達と盗賊達。彼らの剣戟が生む衝撃音が絶えず響き渡る中、ダタッツとランペイザーも剣を交え続けていた。
火に包まれる屋敷の前で、銅の剣と鉄の剣が交錯し、ぶつかり合う。そんな命のやり取りの中であっても、盗賊団の頭領は不敵な笑みを崩さずにいた。
――ランペイザー。それは数百年前に勇者が倒した魔王の名であり、世の悪党がその威光にあやかろうと騙ることも多いのだという。
それ故に今となってはその名も、「偽名でしか己を誇示できない矮小な男」を指す蔑称としか見なされていないのだ。ランペイザーの名を聞いて恐れ慄く者など、この時代にはもういない。
はず、だったのだ。ダタッツの眼前で狂気の笑みを浮かべ剣を振るう、この男が現れるまでは。
なまじ「ランペイザー」の名が小者というニュアンスで浸透していたことが仇となり、自警団でも対処できると町の人々が油断したのが、悪手だったのだ。
少なくともこの男は、紛れもなく本来の意味である「魔王」に近しい悪意と、力を秘めているのだから。
「いいねぇ、悪くねぇ太刀筋だ。このランペイザー様とここまで渡り合える奴なんて、初めてだぜ」
「……いい加減、つまらない芝居はやめたらどうだ。ここに来るずっと前から、あなたの邪気は感じていた。タネなら、とうに割れている」
「なんだ心外だな、俺が手を抜いてるって言いたいのかい?」
「その少年兵の顔で、悪事に走るのをやめろと言ったんだ!」
一方、ダタッツの方は憤怒を露わにした形相で一際強く剣を振るい、ランペイザーを弾き飛ばしている。軽やかに着地したランペイザーは、彼の言葉に眼を細めた。
「……その少年兵の名はエクス。彼の兜に、そう彫られていたのを覚えている。彼は間違いなく三年前のあの日、自分がこの手で……殺したはずだ」
「ほぉ、こんな餓鬼の顔や名前まで律儀に覚えてたのかい。お優しいねぇ」
「かつてジブンが使っていた『勇者の剣』|も《
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