第4話 盗賊団頭領・ランペイザー
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リカの眼前に降り立った黒髪の少年は、銅の剣を引き抜き彼女に手を差し伸べる。その優しげな笑みに、少女は経験したことのない高鳴りを覚えていた。
我に帰り、慌てて胸元を隠すその姿は、年頃の少女そのもの。そんな彼女の様子に微笑を浮かべる少年――ダタッツは、か細い彼女の手を取り、ゆっくりと立ち上がらせる。
「い、今のは、あなたが……?」
「ダタッツです。あのお爺さんの頼みで応援に参りました」
「爺やが!?」
「ガウリカ様〜っ! ダタッツ君っ!」
「あっ……爺やっ! 良かった、無事で……!」
その時、ガウリカの名を呼ぶ爺やが手を振り、2人の前に駆け寄って来た。無事に冒険者ギルドから帰ってきた彼の姿に、ガウリカも笑顔を取り戻す。
「……ッ!」
「えっ!?」
刹那。遠方からの殺気を感じたダタッツは、咄嗟に爺やの前で剣を振り上げた。
その切っ先は爺やを狙っていた矢を弾き、紙一重で彼の命を救う。一瞬の出来事に腰を抜かした爺やに、ガウリカも慌てて駆け寄っていた。
「ダ、ダタッツ君……!」
「……ガウリカさん、お爺さんを連れて早く遠くへ。もう町民の避難は終わってるはずだ」
「わ、わかった……済まない、ダタッツ!」
自分も共に戦いたい。それが本音であったが、すでに自分が付いてこれるような次元ではないことも理解していた。
初めて会ったばかりの少年の背に、何度も熱い視線を注ぎながら。ガウリカは腰を抜かしてしまった爺やに肩を貸し、この場を離れていく。
その様子を一瞥した後――ダタッツは、鋭い視線を矢が飛んできた方向に向ける。すでにその先には、盗賊団の主力部隊が現れていた。
彼らの中心に立ち、漆塗りの甲冑を纏う一人の少年は、獰猛な笑みを浮かべて一振りの剣を肩に乗せている。
「……あなたが、盗賊団の頭領か」
「あぁ。意外に餓鬼っぽくて驚いたか? ランペイザーだ、冥土の土産に覚えておきな」
ランペイザーと名乗る盗賊団の頭領。その凶悪な眼光と、全身を固める傷だらけの甲冑に――ダタッツは、静かに眼を細めていた。
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