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ダタッツ剣風 〜業火の勇者と羅刹の鎧〜
第3話 ならず者の集まり
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さなきゃならないからな」
「わかった。皆も来れそうか?」
「あぁ、行けたら行く」

 それ絶対来ないやつ。そう思いながら頭を抱える爺やの前では、ダタッツという少年と冒険者達が、親しげに言葉を交わしていた。
 少年は昨日このギルドに来たばかりだという話だったはず。荒くれ者揃いの冒険者達と、なぜこれほど打ち解けているのか。

「話は決まりですね。皆も後から来てくれるそうですから、ジブン達は町に戻りましょう。ガウリカさん……でしたっけ。その人もきっと、お爺さんの帰りを待ってるはずです」
「……ほ、本当に彼らが引き受けるというのか? 君は一体……」
「今話した通り、昨日来たばかりの流れ者ですよ。さ、行きましょう」

 歳不相応に大人びた笑みを浮かべながら、腰に提げた銅の剣を手に走り出すダタッツ。そんな彼の背を慌てて追う爺やは、躊躇いがちに冒険者達の方を振り返りながら、ギルドを後にするのだった。

「……相手はこの近辺で名を馳せる、最強の盗賊団……か。久々の大仕事だな」
「なんだ、珍しくやる気になってやがるな」
「あんな大金をぶら下げられちまったらな。……ほら、行くぜ。グズグズしてると、取り分全部ダタッツの野郎に掻っ攫われちまう」

 その様子を見送り、しばらく経った後。冒険者達は重い腰を上げ、次々と自分達の装備に手を伸ばしていく。
 口では面倒だ、なんで嫌われ者の俺達が、と文句を言いながらも。得物を手にした彼らの眼には、確かな闘志が宿されていた。

 ◇

 ――戦いしか取り柄がないような者達が、その道で生計を立てていくために生み出された冒険者稼業。そこで生きている者達には、騎士道精神のような綺麗な道義などない。
 あるとすれば、それは「強い者が正しい」というシンプルにして野蛮な不文律だけだ。

 そして、昨日。宿を探してここへ迷い込んできたという少年に、冒険者ギルドがどういう場所なのかを思い知らせようとした一部の者達が、揃って返り討ちにされた時から。
 ダタッツという少年はすでに、彼らを動かすに足る「強者」として、認められていたのである。

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