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レーヴァティン
第百七十六話 雪溶けと共にその十三
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「しかしな」
「そちらもですね」
「若し興味がおありでも」
「節度は弁えられますか」
「節度というか下衆な趣味はない」
 あの国人に言った通りにというのだ。
「俺はな」
「下衆ですな」
「上様はそれがお嫌いな様ですが」
「どうなのでしょうか」
「実際にそうだ、人のものを奪うことも下衆ならだ」
 まさにとだ、英雄は己の周りの幕臣達に馬上で話した。見ればその背筋は正しく下衆な雰囲気はなかった。
「弱い者をいたぶることもだ」
「されませんね」
「そうしたことも」
「上様はされないですね」
「そうしたことも」
「武芸を備え軍略も神器もあるが」
 しかしというのだ。
「自分より弱い者をいたぶる下衆な趣味は持ち合わせていない」
「それもまた下衆である」
「弱い者をいたぶることも」
「そういうことですね」
「俺はそう考える、俺は女好きだが下衆ではないつもりだしだ」
 それにというのだ。
「下衆になるつもりもだ」
「ないですね」
「そうしてそうした上様だからこそ」
「幕府は治まっていますね」
「そして世界もですね」
「世界は力だけで救えるか」
 それのみでというのだ。
「果たして」
「それはですね」
「出来るものではないですね」
「力だけでは」
「それだけでは」
「力だけの奴に人はついてこない」
 そこに心がないならというのだ。
「ついてきても心からではない、そうした奴は裏切られる」
「そうなってですね」
「ことを果たせない」
「左様ですね」
「そうなることが筋だ」
 まさにというのだ。
「周りに見捨てられてな」
「周りに見捨てられるなら」
「自分がそうであるならですね」
「世界を救うなぞ出来ない」
「そういうことですね」
「その通りだ、下衆に世界は救えない」
 決してというのだ。
「救えたかに見えてもだ」
「その後ですね」
「その後がどうか」
「しくじる」
「そうなりますね」
「そうなるのが筋だ、世界を救おうと思えば」
 その時はというのだ。
「それなりの器が必要でだ」
「下衆にその器があるか」
「そうなるとですね」
「そうとは言えない」
「左様ですか」
「中には下衆を下衆と気付かない奴もいるが」
 選挙でも言えることだ、おかしな政治家をおかしいと気付かないでそれで投票するなぞ常のことである。
「それは愚か者だ」
「それに過ぎないですね」
「所詮は」
「そうした輩は」
「そうした奴は下衆と共に滅ぶ」
 その者が滅ぶことに巻き込まれてだ。
「そうなる、だからな」
「放っておけばいいですか」
「その様な愚か者は」
「そうなりますか」
「俺はそう考える、そしてだ」
 英雄はさらに話した。
「今言った通りだ、女についてはな」

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